2013 SR600 FUJI


韮崎から芦川は単純なようで少しややこしい。
ちょうど暗くなり始めているというタイミングもあり、2回ほどミスコースしてしまった。
と言っても100mほどしか行き過ぎていないのでミスコースと言うほどのものではないが・・・


JR芦川駅がPC。
ここでちょうどツイッターを見てくれていた人が空気入れを持参で待機してくれていた。
なんと母校の後輩にあたり、おまけに実家も同じ城陽市出身!
ちょっとだけ世間話をしてスタート。ここからは完全に闇の世界。
徐々に上っていく。最終的に1,000mまで再び登るのだが、渋峠や麦草に比べると大したことはない。
しかし真っ暗の中で距離感も何もわからないことが不安だ。
この高い壁のような山の向こうに富士五湖があって、富士山があるはず。
しかしもうすでに真っ暗で厚い雲に覆われていて、あたりはまったくわからない。


街灯もなくライトの光のみ。暗いとスピードが落ちるので、予備で持ってきているキャットアイの620RCを投入。
残り距離は100kmを切っている。
山中湖からの40kmは確実に明るいライトがいるのでは?と625をキープしておいた。
そして街灯があるところでは620を530に交換して走る。
その530のライトも日中の霧の中で使っていたから少しずつ弱ってきている。
これはダウンヒルの前には電池交換だな。
標高は1,000mに近づいたとき、ようやくトンネルへと向かう分岐点へ。
多分ここからはほとんど登らずにトンネルに入り、河口湖へ抜けるのではないかと予測。
そしてきっとトンネルの向こうは雨の可能性が高いから、今まだ降っていないここで下りと雨装備の準備開始。
自動販売機の明かりを利用してリュックの荷物を確認しながらライト装備の変更、レインジャケットに着替える際にインナーシャツもここで着替えてしまう。
乾いたシャツに着替えるだけで大きくリフレッシュ。
まだトンネルまでは少し登る。案の定トンネルの手前から雨が降り出した。
準備しておいたよかった。菅平のときは準備もなく気温も低く強風で完全に叩きのめされたが、今回はまだ準備もできていたし、残り距離も80kmほど。そのうち40kmは下りが保証されている。
長いトンネルを抜けると河口湖への下り。
さすがにこの天候でこの時間、すれ違う車は皆無だ。河口湖畔を走るルートも車はほとんどいない。

河口湖を抜けたところでコンビニ休憩し温かい飲み物で体を温める。
山中湖へ向かっては意外だが結構登っている。
ライトの光も弱まってきていて、かといって山中湖からの下りにキープしている625は使いたくない。
そして最後のPCに到着。
人気のない山中湖畔で写真撮影。
雨の降る中を撮影していると車が通過し、こちらを見てびっくりしている。
そりゃそうだ。
記念撮影をする人の感覚からしたら、雨の中で何も見えないのに写真撮影する意味はないだろう。
さっさと撮影し走行開始。
山中湖を過ぎたところでコンビニへ。何もなければこれがゴールまで最後のコンビニ休憩だ。
温かいコーヒーに甘いデザート、そして乾電池を購入。もうここからは一気にゴールを目指すことになる。


100mほどの標高差、山伏峠へ。
今回のルート、山伏峠に始まり山伏峠に終わる・・・そんなことを考えながら登る。
トンネルを越えるといきなりの急勾配。
ブレーキもウェットのダウンヒルを何本もこなしているからシューも摩耗しブレーキ引きしろが変わっている。
下りの直線でブレーキアジャストし引きしろ調節。
意外にもコーナーが多くスピードも乗ってしまう。
もしこれがナイトランでなく雨でなければ心地よいのだが、さすがにナイトランで雨だと危険極まりない。
下っても下ってもなかなか標高は下がらない。
約1,000m近くは下るはず。
もっと単調な下りを想像していたのだが・・・


道の駅どうしを過ぎる際、雨で路面状況が見えなかったが、まさかのアスファルトがなく地道状態。
そのまま時速40キロぐらいで進入、危うく落車するところだった。

途中で登り返しがあったりと、下ることも疲れてそろそろ疲労が出てくる頃、ようやく県境。
神奈川県相模原市
と言われてもまったくどのあたりかはわからない。
わかっているのはあと30kmほどでゴールと言うことだけだ。
とにかく最後はハンドルの下をもってペダルを止めないようにする。
ようやく青山の交差点に辿り着き、それまでの景色からすると「都会」の景色へ。
国412からの大型車も合流し、少し走りにくさが目立つ。
そしてゴールの高尾へもカウントダウン。残る距離を10kmを下回る。
「高尾」の文字の方へ進み、最後のアップダウン。
信号のインターバルは運が悪くほとんど引っかかるも、もうすぐそこでゴール。
そして最後のゴールへ。
あれ??
コンビニの前に見慣れた車。
マングローブバイクスの高橋夫妻が。
ちょっとまさかのサプライズ。
夜中2時半だというのに。そろそろ到着するだろうとゴールで待っていてくれたのだ。
47時間36分


ホテルでの滞在時間とホテルへの移動時間をざっくりと差し引いたらちょうど40時間ほど。
そう考えると悪くはない。
最初に自分が計画していたタイムテーブルとまったく同じペース配分だ。
ゴール後は高橋さんがホテルまで送迎してくれた。ホント感謝である。


ホテルに到着し濡れた衣類を脱ぐ。
ホテルの部屋にバイクを入れさせてもらっているので、部屋の中に濡れたり汚れてもいいように新聞紙を敷く。
ついでにシューズのインソールを外してシューズの中にも新聞紙で乾かす。
夜中3時、シャワーをしてそのまま就寝。まずは寝よう。片付けは明日だ・・・



思いのほか睡魔や疲労に苦しめられなかったのは、今までの経験からペース配分をきちんと守れたからだと思う。
例えるなら腹八分目ならぬ腹五分目

途中ハプニング等があったものの焦ることなく走れたし、最悪はタイムアウトギリギリでもいいと思えたことがよかったのだろうか。
いつものブルベであれば、自分の中で一つの目安となるタイムを設定し、レースではないものの「ファーストラン」と言うスタイルにこだわって楽しんでいる。
しかし今回のSR600は、いつものブルベに比べてはるかにアドベンチャー的要素が大きく、より自分との戦いという部分を強く感じられた。自分としては普通のブルベよりもこちらの方が性に合っているかも知れない。
ただ個人的には、やはり単独で40時間以内という目標をクリアーできていないことに不満が残る。
天候が回復したら是非もう一度チャレンジしてみたいものだ。


今回のチャレンジに協力してくれたラファジャパンの代表矢野氏、マングローブバイクス高橋夫妻、夜中の電話にも答えてくれた知人たち・・・
他にもたくさんの人に感謝の気持ちでいっぱいだ。



野辺山から下り終えると夕陽



芦川駅到着
まさかここでは到着を待ってくれていた人がいてビックリ
それも母校の後輩!!
少しだけお話しして出発。



最後のPC。山中湖。
当然富士山が見えるわけでもなく、真っ暗