2015BRM516静岡600 


先週ひとまずSRをクリアーできたので、今回のBRM516静岡600(岡谷600)は少し気持ちは解放されていた。
しかし今までSR600を除いてDNFをしたことはないし、今後も可能な限りは走り切りたいと思っている。
目標としてはコースのプロフィールから考えると26時間前後のタイム。可能ならば今季600kmの最高タイム26時間切りはしたいところだ。
前週の名古屋600や中部400では、自分の今の能力よりも少し高いレベル(それはフィットネスレベルの場合もあるし、天候の影響ってこともある)だったことで、後半はまったく前に進なかった。
今回は落ち着き、見た目にはかなりリラックスしているようなイメージで走るつもりだが、あくまでもターゲットは甲府から。
そこまで踏んでいくようなペースでは走らない。

バイクはいつものブルベ定番バイクの「1号車」リドレー・ヘリウムにカンパニョーロ・レコードEPS。
ホイールはゾンダ、タイヤはMASSA T2601に前後6気圧。
ローギヤは39Tx29T。心肺機能や筋肉に負担をかけない、あくまでも心拍数を低強度レベルで走るためだ。

ライトは最後まで悩んだ。
スタート前に登りを考えるとライトはキャットアイVOLT700を2灯で使う方が軽くていいだろう思うが、下りで安全に且つスムーズに下ってタイムを失いたくないということを考えるVOLT1200の方がよさそうだ。何せ初めての峠、まったくどういうコーナーなのか勾配なのか路面状況も把握していない。
スタート直前まで悩んだライト選びは。キャットアイVOLT1200をチョイスした。


見た通りとも言えるが、決して楽なルート設定ではない。
長篠から新段戸トンネルを通って香嵐渓へ。これだけでも山岳ルートか?と感じるルートだが、今回のコースだと前菜に過ぎない。
香嵐渓から飯田街道を飯田まで。治部坂峠は難所だが、何よりも稲武から根羽のルートは登り基調ながら何度も下りが入って、せっかく登った標高をリセットされていく。
飯田からは広域農道(?)でアップダウンの連続。
そして甲府からは御坂峠。河口湖〜山中湖も地味に登っているし、少しの登りと言えど籠坂峠もきつい。
そして最後に、登りよりもきついだろ?と言える御前崎付近の爆風区間
何度もここで進むのをやめてUターンしたい衝動に駆られている。
とにかく静岡の400kmや600kmで、登らなかったコースなんてない。
登ってナンボの静岡600、あとはそれをちゃんと受入れらる冷静な自分がいるかどうかだけだ。
きついことは変わらない、あくまでも最後まで冷静に走ろう。


朝、予報通りの雨。
予報では午前中のうちは雨が残りそうだが、飯田に入るころには雨は上がってそうだ。
後半は湿度も下がりそうな予報。レインジャケットは一応携行(スタート時には着用していた)本格的なレインウェアは必要なさそうだ。
雨の為、掛川からスタートまで自走予定だったが、車で会場入りする。

国内最速の落合くんとスタート前に話し、目標は26時間以内かなという話をすると一緒に行きましょう、仕事が13時から(大阪で)なので、と。
え?13時に仕事っておかしくない?ワンミスでアウトやん。
まだSRを取得していないので強行スケジュールで来ました、と。
相変わらず破天荒な落合だ・・・

6時にスタートし、序盤は30キロペースぐらいで様子を見る。が、落合快速が早くも炸裂、時速32キロぐらいで引き始める。
まぁこのまま引いてもらってもいいのだが(-_-;)
引いてもらったまんまゴールまで行ってもいいのだが(笑)ちょっとぐらいは先頭にも出ておくか、と先頭に出て引き始めた直後、浜松市に入ってすぐに「やっちゃいました」と後ろから声がする。
パンク??
違う、変速機が動かないらしい。
もし簡単に直せるかもしれないし、ひとまず止まって様子を見る。
気になる個所があったのでワイヤーを変速機から外して様子を見るがダメだ。どうもレバー内部が不調か。
落合には直せないことを伝え、彼はそのままリタイヤ。
PC1までは行けるかも、と言っていたが、もし最悪の場合に途中で本当に動かなくなったりすると変速機を丸々購入できる金額を失うかもしれない。
落合には大人しく戻ったほうがいいよと伝え、オレは先を急ぐ。
ほぼゴールまで二人で楽しいブルベ旅を期待していたのに、残り580km一人旅決定(>_<)


長篠から新段戸トンネルへと向かうルートで30分前にスタートした人に追いつく。
挨拶を、と見たら、これまた友人の岩佐くん。
生活できるんじゃないのか?みたいな大きな荷物。
聞くと雨はもっと降ると予想して、着替えも持ってきているらしい。
しかし大きなリュックだ・・・(-_-;)
挨拶もそこそこに先を急ぐ。
新段戸トンネルまでの峠道は何度走ってもきつい。
あくまでも心拍は135までで登るようにする。すべては後編のペース維持のためだ。



香嵐渓からの飯田街道(三州街道)はイメージで言うと果てしなく登る。
嫌いなルートトップ3と言っても過言ではない。車でも嫌だ(笑)

国道に合流するまで並行するルートを進むが、これまた嫌になるぐらいの登り・・・
稲武のあたりで路面はドライに。
そして飯田ではまだジメジメとしているものの晴れ間が気持ちいい。というか、予想以上に暑い。


飯田から飯島へのアップダウン区間も嫌いなルートトップ3だ。これでトップ3のうち2つが出揃った。これだけでこのブルベがどれだけ過酷かわかってもらえるだろう。
この区間は飯田で買った食料を食べながら走る、いわば「流し区間
気持ち登り貴重なので食べることに真剣になるとペースダウンが激しいが、上手く下り区間を利用して食べるようにする。


先日のブルベで内臓が完全にやられていて、ふと焼けただれたような痛みがこみ上げてくる。
まだ内臓は本調子じゃないみたいだ。
頑張りすぎないことに頑張ってみる。
伊那からは少し風が舞って向かい風だったりしたが、そういう時は無理をしない。
長丁場、後半までしっかりと足が動く方が絶対速い。
ここでの時速1〜2キロなんて、後半に足後動かなくなったら5キロ失うのも簡単だ。


岡谷ではスタッフが通過の確認で待機していた。
こういうブルべでスタッフの方の熱意そして運営のためのボランティアには本当に頭が下がる。
少しスタッフと談笑し先を急ぐ。
実はこの時点でグロスアベレージが25キロに近い。
R20の下りを考えると確実に25キロを越えられる。
まぁ御坂峠できれいに貯金は失うだろうが。

日が暮れるまでに下れば、きっと山からの吹きおろしの影響で追い風貴重では?という読みも当たり、韮崎までは快調に走る。
メーターだけ見ていると、俺はまだまだ現役でもやっていけると勘違いしそうだが、そこは7%の下りで追い風。誰でも時速45キロなんて簡単に出せてしまう。

甲府を目の前にナイトラン。
暗くなり始めたときに既にライトは点灯しているが、ここからはヘルメット尾灯も点滅させる。
R20から逸れる一ツ谷の交差点、過去に仕事で訪れたことのある場所でビックリ
これだけ全国あちこちを仕事やブルベ、そして車で抜け道として走り回っていれば、過去に走ったことのある場所なんでどんどん被っていくんだろうなぁ・・・


韮崎から甲斐そして甲府へは、快適さを奪い取るような信号三昧。
いったいいくつの信号で止まったのだろうか・・・甲府だけに信玄だったら「疾(と)きこと風の如く」だろうが、残念なことに牛歩のイメージだ(笑)
甲府のコンビニでは少し内臓が熱を持っているかのような感覚だったので何を見ても食欲がわいてこない。
そんなときは極力加工されていないようなものの方がいい。今回はカットフルーツを食べる。


甲府から河口湖へは今回のブルベ最難関とも言える御坂峠へ。
登るのは初めてだが、富士山へと向かうすべての道は大体似ている(はずだ)
ある程度の勾配で直登、そして上の方はつづら折れ。御坂峠もご多分に漏れず、だった。
R139までのアプローチ区間でへこたれそうになるが、心拍計で自分の心拍を管理。
頑張っちゃいけない。スピードではなく心拍だけを気にする
(心拍を)上げるのではなく下げるように。
勾配のきついところでは止まりそうになりながらも、それだけを注意して走った。

御坂峠に入ってからは勾配は緩い。
インナー39Tでローギヤの29Tを時折使いながら、26Tと23Tで走っていく。
鹿の鳴き声が山に響く。事故をしたのか路面には鹿と思われる流血の痕が目につく。突然鹿に突っ込んでこられたりしないよう、定期的にベルを鳴らしたり声を出して鹿が近づいてこないようにしながら走る。
頂上付近は雲の中か霧に包まれる。
そしていつの間にか頂上のトンネルへ。
そのままライトの光量をアップさせて下っていくが、思いのほか寒い感じだ。
途中で レインジャケットを着こんで再度下り始める。
つづら折れの下りで、曲がったところに鹿がいるなんて何度も体験している。
河口湖に降りて山中湖へ、そして最後の坂となる篭坂峠へ。
ここまでにボトルは空。途中で見つけた自動販売機でスポーツドリンクそしてコーラを補給。
篭坂峠は山中湖からだとそれほど長い峠ではない。
ここからは長い下り。どこまで下り?定義が難しいが、沼津まで下りっぱなしともいえる。
御殿場からは信号が増え始める。
夜だからか信号インターバルがどうも合わない。ことごとく信号にひっかかる。
0時、裾野市まで来れた。
あと180キロを切っている。これはうまくいくと24時間半を切ることも可能だ。
そうなるとホテルでの朝食にも間に合う。
急にホテルでの朝食を食べたい(笑)
これは頑張るモチベーションになっていく。
しかし気持ちとは裏腹、ことごとく信号にひっかかる。まるで誰かが操作しているみたいに・・・


沼津のコンビニではそれほど大量に買い込まず。まだポケットには補給食はある。
どちらかと言えば飲み物だ。
気温は低くなってきているものの、湿度が高いのか?汗が結構出て不快。そしてまた汗が出る。そして喉が渇く・・・

沼津からはひたすら信号。記憶が信号しかない。
焦っても仕方ない。
しかしこの中途半端な信号とぺダリングは睡魔を誘う。
信号に止まるとき、遠くの信号が赤で足を止めたとき、油断するとふと足の力が抜けて倒れそうになる。
しかしここまではいつもよりも睡魔は少ない。
集中して寝落ちしたりしないよう気をつける。
宇津木峠の道の駅手前のコンビニでは集中力も切れてきたので、思い切ってストップ、カップそばを購入。
そばならラーメンみたいな内臓への負担も少ない。
これは正解だった。ゴールまで結局内臓が原因と思われるスピード低下は見られなかった。



焼津では空が明るくなりはじめる。
まだあと75km、3時間コースか・・・
5時を回ったところで少し睡魔が激しく、気が付くと時速23キロ以下のスピードになる。
ダンシングしたりして刺激を与えて寝てしまわないよう、スピードが落ちないよう注意。
御前崎が近づく。
最後のコンビニではホットの缶コーヒーを購入。睡魔対策だ。
 
睡魔の影響で予定到着時刻が遅れた。
なんとかここからは挽回していきたい。ギヤを少し重めにセットしスピード上げていく。
時速30キロ前後をキープしエコパへ向かう最後のアップダウンもなんとかクリアーし、25時間27分で無事にゴール。
御殿場からの信号区間は山岳区間(アップダウンのコンビネーション)よりも、はるかに時間を失った。
よく「平坦で信号が多いよりも、アップダウンで信号のない方がスムーズだ」と言うと、にわかに信じてもらえないことがあるが、今回の結果はまさにそれを証明することになった。


スタートから雨
予報では3〜4時間。はやくドライコンディションになって欲しいものだ


まだまだ先は長い
リラックスしつつも、先を急ぐ



有海(あるみ)は名古屋ブルベでも通る交差点
北上し足助を目指す。
新段戸トンネルのある峠が待ち構えている



ブルベで知り合った友人、岩佐くん
彼の方がブルベでは先輩で、いろいろと教えてもらっている
後ろから見たとき、あまりの荷物の大きさに絶対ブルベじゃないな、と思ったのだが・・・



香嵐渓よりいよいよ飯田へ飯田街道を進む
個人的に嫌いなルートランキングでもトップ3には入るだろう



嫌いだぁ〜〜と思いつつ走るのは辛い
今回は信玄塚を通るんだぜぇ〜〜と、自分に言い聞かせながらのヒルクライムだった
稲武を過ぎたあたりで路面は徐々にドライへと変化していった



つい先日来た時の寒原峠は気温一桁で真っ暗
それが今回は20℃
明るいうちに見ると、ちょっと新鮮だ。最近のブルベでは、毎回ナイトランだった



飯田からはブルベの定番コースとも言える飯田〜飯島のルート
微妙に登りながらのこの区間、正直あまり好きではない



諏訪湖を横目に先を急ぐ
可能ならば甲府の町ぐらいまではナイトランを避けたい



R20のダウンヒルは豪快
気が付くと背中には夕陽が迫ってきている



韮崎市を過ぎて甲斐市に入るころ、きれいな夕焼けが背後に広がる
ここからいよいよナイトランだ



難所である御坂峠を越えて河口湖へ。
そして山中湖から篭坂峠へ
ここからはかなり長く急こう配の下りが待ち受けている
(ボケボケの写真でスミマセン。篭坂峠です)



沼津へ向けて延々と下り続ける
スピードの上がる区間、見えにくい区間キャットアイ・VOLT1200が視界を確保してくれている
スタート前はVOLT700にして登りを優先しようと思ったが、今回はVOLT1200の明るさ助けられた



御前崎に近づくと、路面が波のしぶきの影響でビショビショ
さすがに塩水を浴びて走るのは嫌だ



御前崎灯台
もうゴールまであと40kmほど
睡魔、疲労、すべてのものと戦う