2018.10.16 SR600四国山脈 


SR600四国山脈、無事に完走しました。
昨年の悪烈なコンディションで下山するのもサバイバルな環境だったことを思い出すと、今年はまるで平穏な、難易度の低い簡単にも感じたSR600でしたが、ポイントポイントを振り返ってみるとそんなやさしいSR600なんてない、と言い切れます。



前回まで駅前のホテルを利用し朝食7時からだったので8時半スタートにしていたが、今回は朝食なしで海岸の方のバイパス沿いにある吉野家で朝食。
600km前に往復6kmを多いと思うのか、ついでだと思うのか(笑)
長い距離を走るときほど朝食に温かいものを欲しいと思う。
温かいご飯に温かい味噌汁。これがあるだけでやる気も体力も違う気がする。
その後ずっとコンビニのごはんやパンだと、何かフィルターを通じて身体に入らないエネルギーがあるように感じる。なので食べられるときにちゃんと温かいものを食べたい。
特に今回のようにほとんど補給地点がない設定だとなおさらだ。


7時半に伊予西条駅をスタート。いつもより1時間早めのスタート。
やはりこの時期ネックになるのは日照時間。
約3時間もナイトランが長いということは、ライトバッテリーへの負担も大きいし、なによりもスピードが低下するので危険でもある。


今回の装備品は、Raphaのサドルバッグを使用。どうしてもバッグを使うと重心位置も変わるし、当然だが重くなるので走力も低下する。
荷物増→〇リスクを避けられる ×走力低下でリスク増
荷物軽減→〇走力増大でペースアップ ×装備品を削ることはリスク増

この2つの話は装備品の話しの中で避けては通れない。
よく「そんな少ない荷物で何かあったらどうするんですか?」と聞かれることがあるが、逆にそんなにたくさん荷物を持って、今からバカンスですか?って人もいるが、その荷物がなければもっと速く、もっと楽に走ることができる。
ただし、荷物を減らすということは何かがあった時に対応できない可能性がある。
この矛盾すらしている2つの案件を、どこで折り合いをつけるかが、ロングライドでのキモの部分でもあり、これこそが経験値を最も必要する部分であり、ある意味永遠に正解に出会わないテーマではないだろうか。

ちなみにオレも答えにはまだ出会っていないような気がしている。
だからこそ毎回いろいろと試してみたいし、速いから、遅いから、という理由ではなく、ブルべを楽しんでいる人、自転車を楽しんでいる人の中にはもっと素晴らしい結論へ行きついている人もいる。
ただ
素晴らしい結論でも、場合によってはそれが遅く走るのであれば意味のないこともあるかもしれないし、速すぎて意味がないかもしれない。
要は、人それぞれに答えがあるし、その答えを人に伝えても、何の役にも立たない可能性もある。
そして多く経験することこそが、多くの答えに触れられ手、自分の目指す、必要なものに出会えるのだろうと思う。
最終的に自分の目指す部分は、ドラえもんの四次元ポケット。
想定外!と思えることに遭遇した時に
「そんな時は!」
と四次元ポケットから装備品が出てくる想定内が格好いいし、リスクを理解しているのだと思う。
ウルトラトレイルランなど、服のタグすらカットして重量減を考えていると聞いたことがある。
その尖がったところで勝負している人たちは、格好いいし憧れる。
自分もどこまでもその尖がったところを目指したいと思う。


今回の目標は装備や天候気候、コンディションなどを加味すると、おおよそ45時間ぐらいが適切で身の丈に合ったペースだろうか。
最近はこの予想通りに進んでいけるのが楽しいし目指すところだ。
もちろん速く走るというのも、ただ走力だけではなく、走力を含めた準備の集大成だから楽しい。
どこでペースが落ちてどこでペースアップして、どこで休んで、どこで寝て・・・
その結果、だいたい何時間でゴールする、というのが楽しいのだ。


幾分色づき始めた石鎚の山々は、5月に走るよりも気持ちを飽きさせない。
山は秋に限るな。だけどオールナイトで走るのは寒くて向かないけど・・・

1年前にチャレンジした時は、雨の悪烈な環境で、自分を保つのに必死だったのか、その目の前のピンポイントを見るのに必死だったのか、あまり景色であったり他のことを考えた記憶がない。もしくは加齢の影響で物忘れが激しいだけなのか(笑)

今回は台風などの影響で、道の荒れ具合、そして落ち葉や朽木・枝が気になる。
そんなことをひっくるめて、おおよそ自分が考えている通りにスケジュールが進んでいく。


四国カルストの下りを長沢の滝まではライト無しで走行。これは計画通り。まぁ可能ならヨサクに出るまでノーライトが良かったが。

国道439号。通称「酷道ヨサク」

本当なら今年ヨサク縦走したかったが台風の影響などで断念。しかしこの国道なのに酷道なのがそそられる。何度走ってもゾクゾクワクワクする。
来るたびに酷道度合いは薄れてきているのが残念だが。
それでも時折見せる酷道っぷりに、痺れが止まらない(笑)
SR600四国山脈の楽しみの一つが、ヨサクを走れるということだ。


ナイトランでの天空のバルコニーまでの区間、想定内であるが望まない雨・・・
雨足が激しい時間はトンネル内で休息する。こんな真夜中の林道、車なんて来ないから・・・と言うときに限って車が来てお互いビックリした。
下りは悪烈。
路面が、ない。
災害の影響かアスファルトがなくなっている区間すらある。正直雨で良かった。
晴れていれば登りで遅れた時間を、ある程度は挽回しに行っていただろう・・・


夜に寝不足で疲れてくると無意味に立ち止まったりしたくなる。
いったい誰に義を通そうとしているのか定かではないが、一応自分にもっともらしい言い訳を考えて自分に言い聞かせている。
そう、今は星がきれいで見たいからここで止まろう
そんな感じで・・・(笑)

ゆっくりでも漕ぎ続けることがゴールすための、最も重要な部分。しかしそれを遂行できなくなってくる。それがまさに「疲労」なのだろう。
そんな疲労と共に過ごす時間が長くなればなるほどに、ノンストップよりも適度に休んで疲労を回復してやったほうが結果的に速いし安全、と言うことはよくある。


翠波高原こそが最後の難所。特に下りが単調なうえに集中力が切れてきているので油断すると曲がるのが億劫になってくる。もう一人の自分を遠くの自分がコントロールしながら下りきる。
寒さと疲労で仮眠しよう。
と思ったタイミングでたまたま戸のついたバス停を発見。今の俺には5つ星ホテルだ。
迷わず中に入りMARUTOの輪行袋EMGを被り即座に爆睡モード。このあたりは開発のお手伝いもさせてもらい、使い勝手には自信あり。そして被ったとたんに熱が体に伝わり爆睡モードへ。
2時間以上しっかりと寝て、気がつくとあたり一面霧の中。気温も下がっている。
これはたぶん走り続けなくてよかったな。半分は自分にそう言い聞かせてささっと準備をして走行再開。
別子ダムを越える県道6号。標高900m以上。最後まで登らされるものの、イメージはパリ〜ルーベの最終セクションか。エピローグにすら感じるトンネルを抜けるとそこは現実の世界。西条をスタートしてからずっと魂はこの世から離れていたと言えば大袈裟か。


スタートしてから49時間57分で完走。
今回でSR600は9回目の完走、そして四国は二度目の完走
さぁ、記念すべき?SR600の10回目の完走はどこにしようか。
今から楽しみだ。
たくさんの応援メッセージをいただき、勇気が出ました。
どうもありがとうありがとうございました。



今回のチャレンジは、今年1年のブルべやロングライドでの相棒「2018年1号車」こと、ムーラン69
カンパニョーロ・レコードEPSとカンパニョーロ・ゾンダホイールの組み合わせ。
レコードEPSはブルべなどでリスキーでは?という声もあるが、基本的なトラブル発生率は使用している限り機械式と何ら変わらないし、すべてのケーブル類が内蔵されてしまっているので、機械式でワイヤーが切れても同じように対処困難と考えれば手首への負担の少ないEPSに分がある。
「パックライト・トラベルファー」の言葉通り、遠くへ速く行くためには、装備品を最小限にとどめる必要がある。
Raphaのサドルバッグには必要と思われるものをギリギリまで削り携行した。



SR600など超ロングライドでの登りの基本的な走り方
心拍を上げず、汗をかかないように重ね着している場合はなるべくファスナー全開し、空気の層を作らないようにする。
そして下りでは逆にしっかりと空気の層を作り、中に空気が巻き込まないようにする。
一番まずいのは、登りで重ね着のまま頂上へたどり着き、汗で体が一気に冷えることだ。



最初のチェックポイントまで45?、平坦が少しのほとんどが登り。
ここでタイムオーバーペースにいきなり近づく、もしくは突入するので、マネージメントが難しいコースだと言える。



石鎚の登りはダイナミック
今回はところどころで紅葉が始まっていた。




今回は珍しく?四国カルストでの景色は良かった。
過去3回走って2回が濃霧や雨・・・



今回ラッキーだったのは、集中豪雨や台風の影響があったにもかかわらず、全面通行止めが1か所もなかったこと。
しかし通行はできるが写真のようにアスファルトが傷んでいたり、場所によっては穴が開いていたり未舗装だったり・・・



例え舗装が痛んでいても、穴が開いても驚かないのは、きっと日本三大酷道とも言われる国道439号のせいだろうか。
「ヨサク」とも言われ、ガードレールのない崖っぷちの峠で、離合不可能区間など、なかなか痺れるルート。
いつかは全線タイムトライアル(旧道メインで)をしてみたい。



こんなスリリングな道が極端な話だが600kmも続くのがSR600四国山脈
易しい訳がない(笑)



確実に集中豪雨や台風の影響だろうか・・・
自然のすごさをまざまざと見せられた思いだ。



自然だからこそのすばらしさもある。
それをすべて含めての自然なのだから、受け入れるしかない。
自然に逆らうことができない・・・



昨年の秋はここでリタイヤを決意。
ここに至るまでにパンク2回で予備チューブは修理したもの1本、ブレーキシューが峠2回分程度(それもまだまだ雨の中)、食料最大3時間分(西祖谷まで)、ライトの電池は濃霧の影響でかなり使ってしまい、せいぜい数時間・・・すべてにおいて叩きのめされた。
今回もここから西祖谷までの県道149号は、あまりの激しさに思わず声が漏れてしまった。



今回ナイトランで苦しめられたのは、落ち葉と石の区別がしずらかったこと。
極力両方ともを避けながら、最大スピードで下ることに努力した。



ナイトランで役に立ったのはRaphaのインスレーテッドジャケット
日中の峠の下りは、折りたたんでコンパクトになるフライウェイトウィンドジャケットを使用。
しかしナイトランは気温が一気に下がり、ここでインスレーテッドの登場。



災害の影響でいろいろなところで被害が。
それがバイパスや新道が出来てから旧道に被害があれば、このまま朽ちて廃道になる可能性もあるだろう。



大永山トンネルが見えると、現実世界が近づいてくる。