2015.10.07 SR600 FUJI

masahikomifune22015-10-11


今年最後のブルベとなったSR600FUJI、無事にゴールできました。
37時間54分、タイム的にはまずまずだったかな。
季節的に山の中は既に走るには思っていた以上に苛酷な環境だったこと。2年前にSR600FUJI。
DNFしたときほどではなかったけれど、それに匹敵するような環境でした。
麦草峠は氷点下。前回と違ったのは同じ轍を踏まないということ。
軽装の中にも最低限の準備はできていたと思うし、多分大雨にでもならない限りは走れる状態ではチャレンジしたつもりでした。

今回の作戦としては「ウサギとカメ」作戦。
過去4回チャレンジして、3回は霧ヶ峰から白樺湖へ向かう登り約1kmで、睡魔や疲労、酸欠??で足を着いてしまっています。
勾配がほかに比べてたいしたことないのに足を着くというのは、自分に余裕がなくなっているということ。
ここでどれだけ余裕を持たせられるのか。
今回はとにかくゆっくりと走る、PBPでもそうだったけれどHRを120以上には上げないことが30時間以上頑張る際の指標かなと思ったので試してみました。
美ヶ原からのビーナスラインが想像以上の寒さと強風で、予想を上回る消耗度。だけど歩いたり立ち止まったりすることはなかったので、結果的にはウサギとカメ作戦は成功かな。


7日0時にスタート。
少し睡眠不足なのは否めないが、その分ペースを上げすぎず、落ち着いて余裕を持った走行を今回はいつも以上に心掛ける。
HRは110をベースに登りで120だ。秩父の上りに入るとシカが例年よりも多い。
山伏峠は2時27分にクリアー。多分一番速い時に比べると10分以上遅いはず。これがゴールまでにどう変わっていくのか我ながら楽しみだ。

コーヒーで眠気をごまかしているからか、結構な頻度でトイレへと立ち止まる。
秩父付近そして群馬の県境へと、あちこちに公衆トイレがあるのが嬉しい。ただ夜中に入るのは少し怖いが。

朝日の上がるころ、富岡のコンビニで朝食補給と思って入ろうとしたら、サイクリストが1名駆け寄ってきた。
群馬でブルベを走られている方で、ツイッターを見て応援に来てくれたそうだ。それにしてもまだ朝5時ごろ。待っているのは寒かっただろうに。
名前をお聞きしていなかったが、近々群馬のブルベを走られるとのこと、頑張ってください。

その後は淡々と走り抜け、少し煙を上げる浅間山を横目に北軽井沢で補給。
そのまま大津の交差点で止まらずに渋峠頂上を目指す。
大津から頂上最速は2時間17分。
今回は3時間を切る程度。しかし登りはずっとHR120平均もしくはそれ以下。
頂上の素晴らしい景色を堪能し下りへ。
志賀高原側は低気圧の影響かかなり低温。頂上で気温4℃だったが、実際下っているときはもっと気温が低かった。

菅平峠は過去4回すべてウェット。
シマノレーシングで走る横山選手(地元が長野)に聞いたことがあるが、菅平の天気はあてにならないらしい。
天気予報で100%晴れだったのに過去にはゲリラ豪雨。そのため2年前は美ヶ原頂上の低温で濡れたウェアが凍りだして、麦草峠でDNFを期している。
今回初めてドライだ。

上田ではすき家で補給。スタートして初めて温かい食事だ。
やはり温かいものを食べると元気が出る。


下丸子からの区間は最難関。
ウェア類を冬装備:ナイトラン装備にスイッチ。
レインジャケットや使い捨てカイロ、メリノウールのエアーバンドにゴアテックスのグローブなど。




唯一ピンチだったのはペースが遅くて白樺湖のコンビニ閉店時間(22時)に間に合わなかったこと。
念のために下丸子のコンビニで非常食として蒸しパンを買っていて正解。ホント危うく遭難するところだった。
その他にもパワージェル2個、のど飴が数粒あり、ひもじいもののハンガーノックからの最悪の状況に陥ることはなく。ただ走行ペースをさらに落とし、運動強度を最弱レベルにすることで、グリコーゲンの消費を最小限に。
爆風吹き荒れる麦草峠では睡魔が限界。これ以上走るのも辛いと判断し、お腹は空いているけれどとりあえず30分だけ仮眠。
エマージェンシーシートも何もないけれど、下丸子でお腹、肩、太もも、足の甲に入れておいた使い捨てカイロのおかげで気温は0℃近かったけれど風さえ避ければ何とか寝られるレベル。
しっかりと30分仮眠して出発。頂上の方はそれこそ荒れ狂うような爆風なうえに、久しぶりに突き刺さるような冷気。
そして頂上からのダウンヒルでは道路工事中でアスファルトがなく、すごい勢いでグラベル走行。宣伝になっちゃうけれどオリジナルタイヤMASSA T2601はそれでも傷がついたり裂けたりパンクすることもなくクリアー。他社でもいいタイヤはたくさんあるけれど、知りうる

限り耐久性と転がり抵抗のバランスでMASSAタイヤに勝るものはない。

小海に下って野辺山に登リ始める自動販売機で缶のスープを購入。
コーンの粒がすごく美味しくて、久しぶりの食べ物(?)に感動。
野辺山のコンビニでは朝ごはんを食べ、そうしているうちに空がどんどん明るくなって2回目のナイトランが終わろうとしていく。


野辺山からのダウンヒルで遅れた平均時速を取り戻し、韮崎では朝日で赤く輝く富士山に感動。思わず止まって見入っていたが、せっかく稼ぎ出したタイムをすべて失った(笑)


芦川ではそれまで装着していた冬装備をすべて解除。
使い捨てカイロを外してシューズカバーやレインジャケットを脱ぐ。
体が急に軽くなった。ここからは旧上九一色村へ。何度来ても素晴らしい景色に癒される。
こんなのどかで素晴らしい場所が、歴史的に残る凶悪な事件の舞台になったということが非常に残念だ。今となっては上九一色村という名前そのものが歴史の闇に消えていこうとしている。


延々と若彦トンネルまで登り続ける最後の上り。これさえ越えれば河口湖と山中湖を通って道志道よりゴールへと向かう。基本的には下り基調。と言っても河口湖から山中湖へと向かう区間は思いのほかきついし、最後のダメだし山伏峠は、このSR600FUJIの「山伏で始まり山

伏で終わる」と勝手に解釈している最後の上りだ。


河口湖で素晴らしく見えていた富士山が山中湖で見えなかったということが過去にあったが

、今回は大丈夫そうだ。
時折富士山の景色を楽しみつつ山中湖で撮影。台湾人韓国客?が撮影スポット付近を占拠。台湾マネー恐るべしだ。
このあたりから気温はどんどん上昇。数時間前まで氷点下な場所をさまよっていたのに、今では25℃以上か。血液が沸騰しそうだ


相模原に入ってからコンビニでアイスクリームを食べる。時間は38時間は切りそうなので、とりあえず十分なタイムか。メールをチェックしたりフェイスブックの記事を書いたりして体温が下がったと感じてスタート。

ゴールは13時54分。37時間54分で38時間切りは達成。
今回は天気に恵まれたし、そして何よりも作戦的にはいい感じだった。

  1. スタート 7日0時0分
  2. PC1山伏峠 7日2時27分
  3. PC2めがね橋 7日6時37分
  4. PC3渋峠 7日12時23分
  5. PC4北信州やまのうち 7日13時16分
  6. PC5菅平 7日15時58分
  7. PC6信濃国分寺 7日16時46分
  8. PC7美ヶ原 7日20時12分
  9. PC8女の神展望台 7日23時45分
  10. PC9麦草峠 8日2時54分
  11. PC10JR最高地点 8日5時23分
  12. PC11芦川駅 8日7時52分
  13. PC12山中親水公園 8日10時58分
  14. ゴール 8日13時54分


今回は走行中にリドレーでお世話になっていますジェイピースポーツグループさんのサイトでも速報ブログを更新していました。
そちらの方も読み返してみると、そのリアルタイムの気持ちを見ることができて面白いかもしれません。
こちらへ




今回の装備
ドイター・ロードワンのデイパックに詰め込む。
背中面積が小さく、長時間背負っていても苦に感じないのが魅力だ。
容量はもちろん小さいが、本当に必要なものだけを仕分け。
仕分けされてしまったものを必要と感じた場合は途中で買うか、諦めるしかない。
このあたりは経験だろうか



サドルバッグの中身は予備チューブを中心に結束バンドやビニールテープ、そしてクマよけの鈴など



秩父の山に入っていく
0時スタートなので走り出してほどなくすると車も通らない一人ぼっちの世界に突入する


最初のPCである山伏峠
鹿も多かったが、今回はそれよりも走り屋な車の方が気になった。
とにかくライトを明るくし、気づいてもらうようにするしかない。




夜通し走って東京から埼玉、そして群馬県へ。
妙義山が太陽に照らされて赤く染まる



PC2めがね橋


めがね橋のある碓氷峠は、東側からコーナー番号が振ってあり、184個めで頂上を迎える。

軽井沢からは浅間山を見ながらのヒルクライム
標高差は500mほどだが、最初の勾配がきついためか思った以上に長く険しく感じる。




草津から渋峠頂上を目指していると、前から除雪用車両が
渋峠の冬は、そんなに遠くないのだろう



いよいよ渋峠
所々硫黄臭が漂い、活火山だということを意識せざるを得ない。
立ち止まるなという看板があるが、ノロノロと進むサイクリングは大丈夫なのだろうか・・・



大津の信号から約28kmかけて渋峠頂上を目指す
この壮大で険しい峠を走っていると、人生という長いチャレンジが苦しくても耐えられる気がしてくる。



右に白根山が見えてくる
もうすぐ頂上だ
白根山の斜面のあちこちから水蒸気が。
ちなみに10月7日現在、警戒レベルは2。国道292号は日中のみ通行可能で頂上駐車場の停車は許可されていない



渋峠
このSR600FUJIの中で最も絶景と言えば自分の場合はまず渋峠を挙げるだろう。
その次は天気さえよければビーナスラインでの星空だろうか

渋峠を越えて志賀高原側に下り始めると、一気に低気圧の影響で寒気を感じる。
とにかく寒い。
頂上は暴風で気温4℃。さっきまで登りは気持ちいい気温だったのに・・・
これだから山は怖い。


信濃国分寺を過ぎて、すき家で牛丼を食べる。
牛丼もだが、みそ汁が美味い。
スタートして最初の温かい食べ物だ



丸子では夕暮れが迫ってくる。
明るいつちに1mでも前に進みたい



下丸子では進みたいところだけど、コンビニでストップ。
ここで装備をナイトラン・防寒装備に
これを怠ると今の季節は本当にシャレにならない。
3回目のチャレンジのとき、菅平で濡れた衣類のまま登りきると、あまりの低温でソックスがシャリシャリに。
その後低体温症だったのか目が回り始め吐き気が続き、その後あまりい記憶がない。
22時に白樺湖のコンビニに行きたいという急ぐ理由はあるが、しかしここは止まるポイントだ。



ビーナスラインは低気圧の中。
ウェアは湿気でしっとりと。
しかし防寒用にレインジャケットをチョイスしたことで被害は最小限に。
風と寒さ、雲の中の視界不良で自分というものを破壊されているような気持なってくる。



結局白樺湖にはビーナスラインのコンディションの悪さが災いし15分間に合わず。
最悪の場合用に購入していた蒸しパンを、車いす用トイレの中で着替えながら食べる・・・
ここで使い捨てカイロを両肩と足の甲に貼り、さらに冷え込んでいるであろう麦草峠対策。
しかし眠さとの戦いが麦草峠まで続くことになり、この個室で寝ればよかったと少し後悔した・・・
女の神展望台は真っ暗
毎回何かに憑りつかれるような恐怖を感じつつも、なぜか毎回睡魔に襲われてしまう。



ようやく麦草峠に辿り着く
真っ暗闇の怖さよりも、ちょうどこのあたりは風が入り込まなかった。
そのことへの安堵の方が大きく、怖さは意外と感じなかった。



PC10 JR最高地点
ここからゴールまでは割合的に下りの方が多い。
普通に走れば10時間はかからない



韮崎で見る赤く染まる富士山


こんなもの目の前で見せられたら、タイムを狙う気迫が薄れちゃうw
10分以上は写真撮ったりしていたかな。



芦川のコンビニで下丸子から使用した使い捨てカイロを取る。
こんな風に足の甲にも使っていた。

お腹の使い捨てカイロは重宝
他にも両肩に2枚、太ももに2枚使用
そしてここで防寒具として使用していたレインジャケットやグローブなどもすべて脱ぎ、デイパックに収納する



PC11芦川駅
いきなりオッチャンに
「高そうな自転車だなぁ〜〜!!10万円ぐらいするんだろ?」と知っているで口調で言われたが、10万じゃフレームすら買えない・・・



芦川駅から延々と登り続けてようやく辿り着いた若彦トンネル
ここがある意味最後の峠。
このあと山中湖へと向かう登り、そして道志道の山伏峠と県境付近の登り返しもあるが、本当に険しいのはこれが最後だ。



若彦トンネルを越えて河口湖で見る富士山
絶景で見入ってしまう



チャレンジ5回目にして初めて山中湖ではっきりときれいに見えた富士山



山伏で始まり山伏で終わる
なぜ両方とも山伏峠なのだろうか


今回はやはり作戦と、それに対するHRの管理が完璧にできたことが、最後までほとんどストレスなく楽しめた要因だろう
その証拠に、一番疲労でHRが上がるはずのない芦川〜若彦トンネルが一番HRが高い状態で走っている。



今回の走行ルート

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