2015 BRM717岡山1000 PBPへ向けて パート1


パリ〜ブレスト〜パリ(以下PBP)を1か月前に控え、最後のコンディショニングとして岡山の「BRM717岡山1000」を走ってきました。

このブルベのサブタイトルとして「中国山脈」とあるが正確には中国山地
実は多くの人が中国山脈と勘違いしている。
ここは正しく山脈と訂正しないといけないだろうと思いつつ、一度でも走った人はきっと中国山脈と言われても納得しちゃえる厳しさを感じるに違いない。
たかだか標高は300〜800m前後。
信州にあるような山脈と比べるのがおこがましい山々なのに、実際走ってみるとアルプスに匹敵する厳しさがそこにある。
実際にSR600を何度も走っているが、甲乙つけがたいほどの険しさだ。
唯一中国山地が信州の山々と比べて険しくないのは、酸素濃度が濃いということぐらいか。


1か月後にPBPを控えてこの岡山1000を最後のコンディショニングにチョイスしたのには理由があった。
まずは走行時間的にはPBPとほぼ同じきつさを味わえるということ。
スタート時間もほぼ同じ、シミュレーションするには共通点が多い。
運動強度で言うとこちらの方がきついかもしれない。
異国の地で走るという別の厳しいテクニックがあるのは認めるが、個人的にはPBPの方が楽に感じる。


今回更に過酷さを厳しくしたのは、台風11号の接近、いや直撃だった。
台風や嵐でも何度も走ってきたが、何がきついかと言うと多湿になることで装備が変わるしペース配分も変わる。

スタートゴールの早島に近づくにつれ風はきつくなり、山陽自動車道は台風の影響で岡山県内は通行止め。
余裕をもって移動していたが、しっかりと寝るだけの時間は確保できなかった。


今回の走行の作戦として仮眠を取り入れることに。
-朝の明るくなる時間に起きるよう、仮眠する

  • 2日目は台風一過で相当暑くなることが考えられるので、正午ごろに仮眠する
  • 3日目に入る深夜に仮眠し、そのままゴールまで一気に走りきる

合計3回
ゴール後、倉敷市内にホテルは予約してある。なので仮眠時間も含めてもある程度ゆっくりできる上限時間は存在する。
48時間ならば24時間で500kmペース。山岳コースそして台風の影響でプラス2〜4時間。あとは寝る時間を稼げるのか否か。
そしてPBPに向けていくつかテスト的な走りも行ってみたかった。
200や300じゃ行えない実戦的トレーニング。
ゴールは19日中だ。


スタート1時間前、台風が抜けたのか暗雲は北へと足早に抜けていき、時折うす雲の隙間からかなり明るさを感じられる。
スタート地点では明らかに参加者が少ない。やはり台風の影響で参加を見合わせたのか?元々参加者の少ない岡山ブルベだが、さらに少ない。
17時にスタート。少し遅めで先頭に出てペースを作る。
国内最速ランドヌール落合くん。国内ブルベの記録をほぼすべて単独で更新している。超山岳コースの600kmブルベでも22時間台で走りきってしまう超人だ。
海外ブルベにも詳しい森脇くん、そしてファーストランにこだわる片山くん。
序盤からあまりの速さに千切れそうになるが、いつの間にやら失速し、一緒に参加する奥さんとそれほどタイム差がついていないという奥さんが速いのか旦那が失速しすぎなのかわからない謎の夫婦(笑)
今回もこちらが仮眠中に先行するも、コンビニのイートインで座りながら爆睡していてお店の人がひるんでいたのが印象的だ。
その4人で協力しながら吉備高原を抜けて湯郷温泉、そして兵庫県へと進んでいく。


時折残り雨を受けながらの走行。レインジャケットを着用してこれから気温が下がるであろう兵庫/鳥取県境の戸倉峠(新トンネル)や氷ノ山ダウンヒルで消耗せぬように準備をしていくようなイメージで走っていく。

PC1へは思った以上に速い。
21時49分着
130kmで4時間50分ほど。
ここではボトル、食べ物を補給する。


PC1を出発して森脇くんが離脱。
ここからは3人。
登り区間では上げすぎないように走る。
標高は高くなく。ひたすら長い。
ということは勾配も緩く、楽なはずなのにそうではない。
それが中国山地の七不思議、「中国山脈」なのだ。
    
戸倉峠の下りはウェット、リスクは冒さないがスムーズにスピードが途切れないように進んでいく。
2人とは距離が開き、振り返っても見えない。たぶん500mぐらいの差もしくはそれ以上だろうか。
下りきると左折し氷ノ山への登りへ。
急こう配区間でペースを上げすぎないようにして進んでいくことを心掛ける。まだまだ800kmも走らなければいけない。
今回は39Tx29Tのローギヤをチョイスしているが、軽すぎるという感覚はない。
ワイドレシオ化することでシフトしたときのリズムは大きく変わるため、ロードレースのようなこまめにシフトしてスピード維持をするのは難しいが、足に合わない軽すぎる・重すぎるギヤを使い続けることでジャブのように効いてくる疲労は多少軽減できる。というか、距離が長い時には軽めのワイドギヤも有効だと感じる。


氷ノ山のひょうたくん前での撮影、2年前も行き過ぎたが今回も行き過ぎて無駄に登ってしまった(笑)
頂上で撮影していると登りの入り口で遅れた片山くん合流。なんでも峠入口でチェーンが外れたらしい・・・
下りはまた2人と差が開くと推測し、下りきったところの道の駅でコーヒーでも飲むのに先に行っていると伝え、先に下る。
鹿や野生動物と普通に遭遇する中、安全な範囲で先を急ぐ。昨年は巨大な鹿が目の前に出現。鹿が谷へジャンプしそのまま落ちたのか、すごい音が谷にこだました。
とにかく突然出てくるようなことがないように、人けのないところでは声を出したりベルを鳴らしながら進むようにしている。

コーヒーを飲み終えた頃、二人が合流。
路面はドライ、予想では鳥取を越えて岡山県境までは雨が残るのではないかと天気予報から予測していたが・・・と良い方に予想を外したわと落合くんと喋りながら走っていたら、案の定降りだした。
夜明けまでは多分不安定なのかな、と。
鳥取の道の駅かわはらには01時56分到着。

ここからは岡山県に向けて辰巳峠、人形峠(トンネル)、そして福本峠で蒜山へ。
全行程の中でもフレッシュなので気付かないが、一番登っている区間かも知れない。

それほど勾配はきつくないが後半に向けて徐々に勾配がきつくなり始める。
残り3kmあたりで1回目の仮眠。ちょうど駐車場に屋根付きのチェアーとテーブルのある場所を発見。
標高もあるし寝るには適していないか?と思いつつ、仮眠。
ポケットの荷物はすべてテーブルに置き、自転車のヘッドライトは消灯、尾灯はそのまま(一応ここに誰かいるということをアピール)アラームは30分でセット。
肌寒く深い眠りには入れない。たぶん気温は15℃ぐらいか。
周りが少し白々しくなり始めた頃に起き上がり、再び走り始める。

人形峠の下にあるトンネルを下り、蒜山高原へ向けて福本峠を登り始める。
このあたりは本当にコンビニもなければ店もない。

補給を間違えると痛い目に逢う。福本峠に入ってすぐの自動販売機でコーヒーを飲みリフレッシュ。
缶コーヒーの砂糖は多い。飲む補給食だと思えば悪くない。
徐々に回復していこうとしている2日目、焦らぬ気持ちでライドを楽しむ。
福本峠を越えるとそれほど下ることなく蒜山高原そして大山へ。
大山を前にコンビニでドリンクと食べ物の補給に立ち寄ると、先行する片山くんがイートインのテーブルで爆睡。
買い物をして食べ終えて店内のゴミ箱に捨てに行った際に気づいたようだ。いったいどのぐらい寝ていたのだろう。

大山へのルートは走り慣れている。
いいリズムで走り、思った以上に短く感じる。やはり寝たことで体はリフレッシュしたのだろうか。
ローギヤを29Tにしていることもあるが、頂上まで基本アウターで登りきる。
ローギヤは使わず26T、23Tでクリアー。


ここから伯備線沿いに備後落合までは個人的に嫌いなルート。
勾配はきつくないが、何か集中できない。
今年はさらに生山からは農道祭り。暑さと戦いながらも終わりの知れないアップダウン、時には延々と登り続ける登り・・・コンビニもなければ自動販売機もない。
ボトルの水もみるみる減っていく。
三国トンネルにて通過チェックの撮影をしたときには、かなり消耗しきっていた。
下りきってルートは右だが左折し小奴可の農協にて補給。暑さが辛く思わずアイスクリームを購入。
オーバーヒート気味だった体には染み入るような美味しさだ。
少し体温が下がったところで走行開始。
ここからは下り基調だが、あまり力も入らない。
備後落合のコンビニに到着後、昼食を済ませて日陰で仮眠開始。
ほとんど寝落ちするかのような勢いで寝て、自分でも体が傾いているのがわかるぐらいに傾いている。
そして40分後、無情にもアラームが鳴り起床。少しすっきりした状態に回復、走行を再開する。



台風11号が通過し、少し晴れやかな気持ちでスタートできた。
これから1,000kmの旅が始まる



河川はまだ台風の余韻を残す水量。明るいうちはまだいいが、真っ暗な川沿いの道だといったいどんな濁流なのかも確認できない。
不安な気持ちを持ちつつも、それでもペダルを漕いで進んでいく



協力できる所は少しでも協力する。
みんな若くて速い。まともについていくとオーバーヒートしそう




通過チェックは氷ノ山の上。
真夜中に行く場所じゃない。



辰巳峠にて仮眠。
体内リズムを保つべく、朝の明るくなる時間に起きるように仮眠
峠は少し肌寒く、寝るには不向きだったかもしれない。
しかし悪劣な環境に対してストレスを感じないことができるならば、乗り越えられることも多いはずだ