2013 SR600 FUJI

SR600とは何か?
簡単に説明すると600kmで獲得標高10,000mという、要は山岳ブルベである。
詳しくは〈こちらへ〉

ようやく国内でもコースがオープンし、いつかはクリアーしておきたいなぁと思っていたのだが、当然スケジュールやら何やら的に難しく・・・いつのことやら・・・と漠然と考えていただけだったのが、今月急にスケジュール調整すればできるんじゃないかな?と。
それも608青葉600の遠征に被せてしまえば1回の関東遠征でクリアできる。
宿泊も1か所滞在でできそうだし、そうなると色々と都合もいい。
ただそうなるとなるべく青葉600の後にインターバルを開けたくはない(予算的にも仕事的にも)
ということで決行は6月11日にして13日には遅くともゴールし14日に帰宅。そうすれば1週間の遠征でクリアーできるという計算だ。


608青葉600走行後のダメージは両膝と両足首に違和感(多分あと少し追い込んだら、確実に痛めてしまうレベル)、そして寝ずに走ったのとゴール時は思いのほか気温が上がったことでのダメージが残っている。
しかし逆手に取れば、そのことによってSR600ではオーバーペースで走ることは一切できないので、自分への抑制としては申し分ない方法だ。少々荒療法ともいえるやり方だが・・・


今回は機材的なトラブルはなく走れるのか、そして肉体的にスムーズに走れるように、と言うのがテーマだった。
青葉600走行後、立川市マングローブバイクスさんで懇親会。
高橋店長とは以前別のイベントで知り合い意気投合、それ以来仲良くさせていただいている。
そして懇親会にあわせてバイクもメンテナンスもしていただき、おかげで完璧な状態でSR600に走り出すこともできた。
高橋さん、本当にありがとうございました。<(_ _)>

〈計画編)

-スタート前の計画

目標時間は40時間前後(40時間切りも視野に入れつつ)
現役時代から美ヶ原頂上付近にある宮田工業の保養所を使って合宿をする機会が何度かあり、そのため上田から蓼科付近までは何度も走行した経験がある。
普通の600kmならば、どこをどう通過しようが食料と防寒具があれば何とでもなる。
もっと言えばコンビニや自動販売機があれば、なんとでもなるものだ。
しかし、今回の美ヶ原からのビーナスライン、そしてメルヘン街道へのルートは訳が違う。
標高1600m付近を走り、店もないし車とすれ違うこともない。
そして山の中ということもあり、もし万が一の事態が発生した場合は登山と同じぐらいのリスクは覚悟しなきゃいけない。
そうなるとどこかでビーナスラインのナイトランを避ける方法、もしくはもう一度セットアップしなおすぐらいの気持ちで挑まなきゃいけない。
そんなことを考えると300kmから350kmの間で、となると直前の上田ぐらいしか方法がない。
もしくは
時間調整しつつ、ビーナスラインを比較的早朝に通過できるようにするのが望ましい。
そして更に渋峠を明るく「安全な」時間帯に通過すること。
この計画に基づくと、自分の走力だと高尾出発を朝3時にするのが望ましい。
そうすればかなり余力を残したペースで走り、睡魔が疲労で標高の高いところでもリスクを冒して走るということはなさそうだ。


-補給

今回のPCは峠の頂上だったりランドマークでの写真撮影と言う方法。
それは言い換えれば補給地点を自分で設定しなければならない。
いつものようにPCまで走りきれば補給して、と言うわけにはいかない。
峠を越える前に水分、そして食糧補給して「万が一」には十分備えた状態で走れるようにすることが重要。
基本的なことだが、SR600、これは「遊び」である。
命を張って行う冒険でもないし、それに値するほどの名誉もない。
まったく価値がないとは思わない。
しかし命を大きく削る意味はない。
あくまでも「安全に」が大事だ。
いつもと同じく2時間〜3時間の間に補給しつつ、峠の直前には休憩を入れる。
そこで機材的なトラブルチェック、精神的なリフレッシュ、これから進むルートの再確認を行うようにする。
もし補給ポイントまで時間がかかる区間の場合、それはスピードを落として消費カロリーを少なくしてやり、なるべく体力の消費を少なくしてやるようにする。
今回ドリンクはいつも使用しているシトリックのスポーツドリンクを使用、パウダースティックなので多めに持っていくことにする。


バイクは何も変わったことはしない。
これは現役時代から何も変えていない。
軽量パーツを使っていい思いをしたことはいし、最悪の事態を考えれば限りなくスタンダードなバイクの方がいいに決まっている。
しいて言えば今回のバイクはカンパニョーロEPS(電気式)を採用。
これは昨シーズンまで、600kmを越えたイベントの際、必ず腱鞘炎などの影響でスピードダウン、体力ダウンを余儀なくされていたが、EPSにしてからは握力もほとんど低下していないし、結果的に体力を大幅に温存できているので後半のスピードダウンはほとんど見られない。
雨の中などで走ってみたが問題なし。
あとは標高2000mを越えるような過酷なSR600でも問題なく走れるのか。
実は唯一の不安材料でもあった。
そう、「あった」である。
結果的に言えば、問題はまったくなかった。どころかEPSに何度も助けられたともいうべきか。
それはまたこのあとに書くとして・・・

フレーム:リドレー・ヘリウムSL

ロットのエース級がステージレースで採用している軽量フレーム。
しかし軽いだけじゃなく、剛性も高く下りでも十分な剛性を保っている。
シートピラーが27.2mmとスタンダードサイズなので、重いギヤで激しくペダリングをしていると、別に所有しているノアに比べると若干しなりは感じられるが、それは推進力を大きく損ねているものではなく、リズムを作ってやることで嫌なイメージではなく逆に心地いいしなりになっている。
今シーズンに入ってヘリウムSLとヘリウムもブルベで使用しているが、長距離、それもアップダウンがあるなら迷わずヘリウムSLを使用している。

ペダル:スピードプレイ・ZERO


-ホイール

実は今回最も迷ったのがホイール。
ボーラで軽量化していくか・・・しかし最悪の事態の場合は本当に危険だ。
完組ホイールも同じ理由。
ただリタイヤすればいいのなら悩まないが、場所によっては遭難してしまう。
やはり何をしてでも命の危険を感じないためにも、スポーク36本(14番プレーン)の500gオーバーリムの手組みで走ることにした。
重い。
そりゃ重い。しかし時速1〜2キロ上げるためにリスクが倍になるのは割に合わない。
過去にさんいん1300などでも使用した自分の所有するホイールで最も強靭なホイールだ。
登りばかりの今回、ホイールの重さは苦戦するだろう。
しかし標高1800m以上でホイールが壊れ、それがナイトランで、山の天候が急変したら・・・
そう考えたら時速1〜2キロ遅いことなんて「誤差」だと思える範囲だ。

そしてタイヤは自分がプロデュースするMASSA T2601
余談だがパナレーサーのツアラーブルベエディションよりもさらに肉厚のあり、タフなブルベに使用するなら間違いなく最強タイヤだろう。
今まで使用してきてパンクはいまだゼロ。
貫通した異物ゼロ、サイドカットもゼロ(自分が使用してきてだが)
チューブはパナレーサーR-AIR
軽量で空気漏れが少ないし肉厚が薄いので転がり時のクッション性も高い。

ギヤは53Tx39Tで12T〜27T
自分の山岳コースでのスタンダードギヤ。
300〜400kmだったら25Tででも無理して走ることはできるが、さすがに600連戦に日本屈指の山岳コース、本音はもう1枚軽くてもいいかもしれない。
余談だがランドバウクレジット時代はインナー41Tでローは23T。
それで走れないコースは自宅待機させてくれと監督に頼んでいたが、実際ワンデーレースレベルで標高1000mならギヤが足りないと感じたことはなかった。