2012BRM428中部400 2 記録、そして自分とのたたかい


中部ブルベの序盤、北上する場合は各務原の町を抜けるまでは信号が多い。
ここはまだばらけないしパックで走行。
スピードを上げても信号に引っ掛かり無駄が多いので、疲れない程度に上げつつも飛ばさない。
27km先のPCへ1時間15分までに出発していればいいという感覚で走り出す。
先頭交代し、他の参加者も30〜35km/hとスムーズなので、流れに合わせつつ走っていく。

ギヤは脚へのリズム変化で後半疲れないように、今回はスタートから90〜100回転でアウターで走るギヤをチョイスする。
最近は前半を高回転で走る軽いギヤ(110回転前後)にしていたが、特に後半にリズムを維持できたとか、上げていけたと感じられなかったので、今日はスタンダードにいつもと同じ走り方に変える。


PC1は現役時代に何回か走ったTOJ美濃ステージの登り入口にあるコンビニ。
ここは特に用事なく気温が高くなることを想定して紙パックのオレンジジュースを飲んでミネラル補給、そしてすぐに出発。
とにかく止まっている時間が一番無駄、休憩はバイクの上で走りながら・・・


すぐに1人合流し2人。
TOJ美濃ステージのKOMへ
2008年のペースが上がったときは53Tx17Tでクリアーしたが今日はインナー39Tで19Tか21Tでクリアー。ここで心拍が上がりすぎないよう抑えて心拍は136でクリアー。
そして下りきってさらに1人合流。
しばらく3人でローテーション。
風の影響はないのか、結構いいリズムをキープしている。
後ろについていると2人とも若干オーバーペースじゃないの?と感じられるが、こちらの心拍は100〜130まででキープしているし、そのまま走る。


R256へ。
ここは先月の3月の300kmでも走ったのでコースは把握している。
タラガトンネルまではスピードがあまりのらない峠道、そこからの下りで徐々に巡航スピードをイメージして走り始める。
今日は多分30〜33km/hぐらいでいけるかも。
あとは大野に出てしまうのにどのぐらいスピードが低下するかだな・・・
郡上八幡を迂回して走れる県道61号〜52号でも30km/hをキープ、この微妙な登り区間でスピードが低下しなかったことで、最初に目標としていた15時間20分以内に手が届きそうだ。


ちょうど1週間ほど前に埼玉のブルベで400kmを15時間23分でフィニッシュしたらしい。
獲得標高もほぼ同じ状況だし、自分としてはその記録に甘んじるわけにはいかない。
ただ信号や協力者がいないことがハンディだが、ここまでのペース、と言ってもまだ320kmはあるのだが、自分の記録を塗り替えて15時間半以内のペースで進んでいる。
記録を塗り替えられそう、そう考えると徐々にだが体の奥底から力がみなぎってくる。


PC2は美濃白鳥の油坂峠の入り口。93km地点。
3時間08分で到達。
これは登りをうまくクリアーできれば・・・もしや??と言えるペース。
休憩込み、グロスでのアベレージで27km/hで走り続けられれば今までの最高タイム14時間53分をブレークできる。
休憩時間は2分31秒、ほとんどがレジでのロスタイム。
次の大野までは50kmほどで後半は下りと考えると補給食は最低限のものにして大野で食べる方が効率がよさそうだ。
ハンガーノックにならぬよう、エネルギー消費も最小限に走ることを心掛ける。
何しろここからの九頭竜湖畔にはコンビニもない。


登り始めてR158に合流するところで道路標識が自転車通行止め!!
道を間違ってしまったか??
キューシートを見たが間違った形跡はない。
Uターンして300メートルほど下り、2番手を走る人に確認するが合っているという。
どうも看板を見る角度でこれから行くルートと通らないルートの看板を間違ってみてしまったようだ。
焦らずにイーブンペース、心拍は130代前半から140で走る。
登り始めて1kmで単独。
待とうかと考え1kmほどスピードダウンしたが後続は来る気配がない。
そのまま予定の巡航スピードに戻して残り300kmを独走でタイムアタック
標高750mの油坂峠を越えると九頭竜湖へ。
思っていた以上に道幅は広くストレスは少ないが、雪国の道路らしくチェーン装着の車が多いためかアスファルトが削れて荒く、路面の振動が気になる。
過去に雪国道路を走ったときに衝撃でスピードダウンしたから今回はスタート時に空気圧を7気圧弱にしている。
北信越を走るときは注意しておいた方がいい。
おかげ振動によるスピード低下は今のところ体感しない。いい傾向だ。
九頭竜湖からの下りはたいしことはなく、どちらかと言うと下り基調の平坦といったところ。
おまけに軽く向かい風、下ハンドルを握ってスピードが落ちないよう注意する。


下っている途中、いきなりの渋滞
何事かと見たら、道の真ん中にカモシカが立ちすくんでいる。
頭から血を流しており、道にも出血している。
車と接触したか?
運転手の一人が枝で追い払おうとしていたが微動だにせず。
自転車は脇から抜けられたが・・・

大野PC(146km)へは5時間07分
峠を越えたが下りの方が長かったからか、平均時速で言うとほとんど落としていない。
ここで補給食を買いボトルの水など充填。
次のあらわ温泉のPCまでは50km。勝山から丸岡、そしてあわらへと抜けるコースは何度か自走したりで把握している。
タイムを狙うときに後半上げていってもせいぜい5〜10分の短縮が限界。だがこの時点からあげていければ、もしかしたらもっと短縮できる。
ここからは記録更新しか頭にない、完全にスイッチオン状態。
再びハンドル下を握り、時折車の流れに追い付くぐらい。ん?時速50km/hまで上がっている。
現役の時と同じ、というかブルベをしているというよりもロードレースで逃げているときのような感覚でペダリングしている。
自分でもビックリするぐらいにアドレナリンが放出されている。
そしてあわらのPC(195km)は6時間57分。スピリットタイムで計算すると大野からあわらまでグロスのアベレージが30.7km/h!!
正直自分でもコワいぐらいのスイッチの入りっぷりだった。

そのまますんなりと通過しようとしたが思いのほか暑くてミネラルが抜けている感覚が強いこと、そしてここまで「本気」でもがきすぎたか、ハンガーノックではないが小腹がすいた感覚だ。
休憩5分、次の越前岬を目指す。


シークレットポイント(と言ってもシークレットになっていないが)は東尋坊東尋坊タワーの写真撮影。
風は追い風だったり向かい風だったりとまわっている。
東尋坊タワーで写真撮影をしたあと、海岸に出たところで気持ちいいほどの追い風へ!
とにかく新記録ペースを走りながらざっくりと計算していくと、敦賀からの新道野越へ明るいうちのアプローチ、18時半までには敦賀の町に行きたい。
となると10時間半で敦賀なので9時間半で越前岬の先のチェックポイントか。
この追い風なら楽勝!と気楽に考えていたが、岬を境に風は穏やかになり、そして徐々にエネルギー切れ・・・軽いハンガーノック気味か。
PC5(248km)へは8時間50分。
時間は少し余裕があるが、風が微妙に向かい風に感じることと、ここで軽いハンガーノック気味になったことがウィークポイントか。
ここからは70km先の木之本まで。
補給食は少し多めに用意する。
予定では3時間はかからない。3時間もつだけの量でスタートする。


敦賀までの海岸は少し向かい風か。
体力も消耗しているためか頑張って時速30km/h前後。油断すると26km/hに下がっている。
意識的にハンドル下を握りしめ、自分を励ますように気合いを入れる。
遠くに敦賀の町が見えてくる。
R8に合流すると向かい風の影響が少しおさまる。
敦賀の町を越えて疋田手前から新道野越への登りへ。
標高はさほどないが0mからの登り、約10?登り基調できついのはラスト3kmだ。
徐々に日が暮れて暗さがやってくる。
暗いとスピード感が増すので、スピード感だけで満足していると実はすごく遅かったりする。
頻繁にスピードメーターに目をやってスピードと体感的強度を確認して走る。
頂上に辿り着くとほぼ予定通りにライト完全装備にして下り始める。
ここからは滋賀県。道路もほぼ単調。道はほぼ完ぺきに把握している。
タイムを稼ぎ出せるところで稼ぐ(と言うか登りで遅れた分を取り戻す)
木之本までには、まるで罠のような旧国道の元奥琵琶湖ドライブインのルートと賤ヶ岳トンネル上の登りを越える。
普段琵琶湖一周をしているときのルートで慣れっこだが、さすがにこんな真っ暗で通るのは初めてで、少しドキドキした。
途中で鹿が目の前にいたのにもビックリした。

木之本のチェックポイント(315km)へは11時間27分。少し余裕はなくしてしまった。
本当ならここで温かいスープでも飲みたいと計画していたが時間的に厳しい。
ここからだと残り85km。ギリギリの補給に切り替えて一気にゴールへアプローチする計画に変更する。
もし時間の調整をするならここから最終チェックポイント(352km)まで。
ここで貯金ができるのか否かで最終区間はゆとりが違う。
再びハンドル下を握りしめ、真っ暗の湖岸道路を長浜市目指してペダリング再開。
おおよそ時速30〜32km/hキープ。
風は横風。長浜の町からは向かい風。思っていた以上にきつい。
北陸道を越えてから突然伊吹山からの吹きおろしで時速26〜28km/hに。
そして何とか最後のチェックポイント(352km)には12時間48分で到着。
残り48kmを約2時間。と言うことはアベレージで24km/h
ここまでのことを考えるとクリアーできる範囲だが一長一短のある区間だ。


長所

  • 現在地よりゴール地点の方が低いため、下り基調で走れる。
  • ピークを越えると、多分伊吹山からの吹き下ろしは追い風に変わる。
  • ここまでのアベレージからすると問題なしか・・・
  • 羽島の町を過ぎると信号が減る。特にゴール手前10kmは信号なし

短所

  • まだあと数kmは登り区間で向かい風
  • 大垣界隈は信号が多い
  • 今までの消費カロリー的にゴール手前でハンガーノックに陥るかも知れない


どちらに転ぶかわからない。
言えるのはここに長居してもしょうがないということだ。
約3分の滞在で出発。
ボトルにはスポドリとコーラの2本、ゼリーを1個持った状態でスタート。
このエネルギーでなんとかなるだろうか?いや、なってもらわないと困る・・・


岐阜県に入るまでは暗闇と向かい風と緩い登りで気が狂いそうになる。
これだけ頑張って記録を破れなかったら・・・ぜったいそんなミスをしちゃいけない。
何度も何度もへこたれそうになりながら、あと2時間もしないうちに解放されると自分を奮い立たせてペダルを踏み下ろす。


そして岐阜県関ケ原への下り。
このあたりは車や自転車でも走ったことがある。
垂井を過ぎて綾戸口を右折し県道31号へ
ここから木曽川までの信号次第では、記録を破ることが出来ないかもしれない・・・
が、幸いにも平均すると追い風気味で信号もあまり引っかからなかった。
唯一揖斐川手前の長沢町5のY字路の歩行者信号がタイミング悪く、まるまる2分止まったことぐらいか・・・

新幹線沿いに走り、濃尾大橋へ。
残り10?、14時間20分経過
あとはトラブルさえなければ・・・
堤防で時速30km/hをキープすれば、と考えていたらハンガーノックに陥る
1kmでも2kmでもスピードを上げれば、ゴールまでの残り距離が楽になる。

少し頑張っては力が抜け、そして再び踏み込んではハンガーノックで震えだし・・・そんなことの繰り返し

そして14時間44分、それまでの記録を9分更新してフィニッシュ。
ゴールした途端に体にエネルギーがなくて震えだし、そして喋ってもろれつが回らない。

しかし追い込んだ価値のあるゴールだった。
何よりも静岡以西で一番厳しいと個人的に感じる400kmの記録を、300km以上独走で更新することができた。


走行データ

  • 走行時間:14時間44分
  • 走行距離:399.70km
  • 平均時速:29.0km/h
  • 平均心拍数:113回/分
  • 消費カロリー:13,215キロカロリー
  • ケイデンス:79回/分
  • 積算高度:2,015m


チェックポイント停止時間

  • PC1:1分30秒
  • PC2:2分31秒
  • PC3:7分53秒
  • PC4:5分09秒
  • PC5:6分16秒
  • PC6:4分09秒
  • PC7:3分16秒