2012 Fleche

このフレッシュのレギュレーションで、22時間の時点でどこにいるのか証明を取る必要がある。
ラスト2時間で25キロ以上移動していることを照明する必要があるためだ。
今回PCに設定した場所の直前にもコンビニを設定し、最悪の場合はそこでレシートを受け取ればいい。
行けるのか、行かないのか・・・
ひとつ言えるのは、かなり「神がかった」ペースを維持しないと最初の計画で設定したPCのミニストップ河内金江津店へ辿り着くのは、厳しいということだ。


夜中の3時を過ぎる。この時間帯が一番きつい。
寒さと睡魔、そして疲労
すべてが襲い掛かる。
前走者の後輪に近づこうとしても、眠くて近づけない。それどころかジワジワと離れて行ったりする。
感覚的に多分寒さで意識が遠のいているようだ。
先週の中部300でも寒さで意識朦朧とした感覚に近い。
とにかく何かを食べようと、ポケットに入れている飴やブラックサンダー、何かしらを口に運ぶようにする。
この状態からエネルギーが切れるのが一番コワい。
しかしそんな状態でもなんとか最低限の平常心を保って走っていられるのは、パリ〜ブレスト〜パリを走りきったことでもっと辛く過酷な環境で走っていられたからだろうか・・・


なんとなく走ったような走ったことのないようなところを走っている。
流山や柏からあまり離れていないから、イベント等で走ったことのあるところだな。
こうやって振り返ってみると、結構日本全国あちこちに足を運んでいる。
まったく知らないのは愛川のあたりから関宿を過ぎあたりまでと、そしてここから先、犬吠埼までの区間だろうか。

突然「町」に入ったと思ったら取手市
嗚呼、20時間前には愛知県の三河安城にいたのに、もうこんな知らないところを走っている・・・


取手の町を抜ける。
黒澤君の男引きが続く。
千切れるほどではないが、今自分がこのスピードで引き続けるのは無理だ。
ずっと32km/h以上をキープしている。
2番手につく落合君は後ろから見ている限り余裕はあまりないようだ。
そういう俺もここまでの走りで余力はほとんどない。
俺の後ろの上保さんはどうだろう?
ライトの光が一定感覚で見えるということは、ちゃんとついてきているのだろう、まだついては来れるようだ。
基本的にあとは黒澤君が頑張ってくれるのに頼るしかない。


時間がどんどん過ぎ、いつの間にか空が明るくなっていく。
22時間ポイントに辿り着けるのだろうか・・・
明るい空を見ると睡魔は一瞬で吹っ飛ぶ。
5時まであと11分弱で4kmちょっと手前にあるコンビニ。
ここから4km先まで辿り着けるのだろうか?
ここに最悪の場合のコンビにはある。
ここで10分ほど時間を潰して証明をもらうという手もある。


しかし、4人の結論は・・・進む
信号などを考えると時速30km/h以上を4km我慢か・・・
ここからの4km、さらに気合いが入っての走行にシフト。
最低でも時速30km/hキープでの走行が続く。
時間とのたたかい、1kmがむちゃくちゃ遠い。
もし落車やパンクがあったらすべてが台無しだ。
そんなリスクを考えなくもないが、今は一刻も早くコンビニが見えて欲しい・・・


そして残り4分、無事に辿り着き、22時間での証明を確保。
この瞬間、スタッフも驚き!
時間的にこれはクリアーできないだろうと思っていたらしい。
5時ちょうど、コンビニで買い物をしてレシートを受け取る。
ここからはゴール地点に設定したセブンイレブン茨城波崎本郷店は、あと50kmほど先。
2時間弱で50km、それも信号のない利根川沿いのルートと考えればここから先はここまでの2時間とは比べものにならない。
トラブルがなければ必ずそこへ到達できる範囲だ。
5時ちょうどのレシートを入手し4人、そしてスタッフの三家丸夫妻と鮫島さんとも自然と笑みがこぼれてくる。
用事も何もないがコンビニにダラダラと滞在。11分強ほど止まっていた。
しかし長居は無用、もう一度気合いを入れなおして出発。
ここからは凱旋パレードのような感じで、スピードはここまでと比べると気持ち遅い。それでも30km/h前後。
震災の影響か路面状況の悪い利根川沿いの直線ルートを走っていく。
このぐらい信号がなければ27km/h巡航でも楽勝でゴールできる。
そのうち太陽が顔を出し、空が赤から水色へと変わっていく。


6時50分、スタートしてから23時間50分経過
ゴール地点へと設定したセブンイレブン波崎本郷店に到着。
604.2km
休憩時間や信号で停止した時間を含むグロスでのアベレージは25km/h以上をキープしたことになる。
海外と比べれば信号や交通事情の悪列な日本で24時間600kmは奇跡に近いだろう。
信号のないコンディションのいい北海道ではなく、首都圏を含んでのこの記録はかなりの価値があるはずだ。

7時ちょうどのレシートをもらうべく、先に一度買い物をしてコーヒーを飲んだりしてホッコリタイム。
そして7時。レシートをもらった瞬間、全てから解放された。
もうコンビニを急いで立ち去らなくてもいい。コンビニの前でドカッと腰を下ろして購入したプリンをゆっくりと口に運ぶ。


そして集合地点に指定されている犬吠埼へ向けてゆっくりとペダリング開始。
最初の押しボタン式点滅信号、今回のフレッシュを象徴するかのように通過直前に朝帰り風のほろ酔いオヤジにボタンを押されて通過直前に信号に引っかかる・・・
呆れはするが苛立ちからは解放されている。

千葉県に入り銚子の町を走り抜ける。
三家丸夫妻や鮫島さんを待機させている犬吠埼近くのコンビニへ。
そして彼らと合流し健闘を称えあう。


今回の挑戦には国内フレッシュ(もしかしてブルベでも)初のサポートを三家丸夫妻が担当してくれ、サポート体制が完璧だったことが達成できたことの要因として大きい。
もしPCごとに先回りをして温かいものを用意してくれたり、レシートを受けるための買い物中にボトルのドリンクを用意してくれたり(1回だけ俺のボトルを交換し忘れていたが・・・w)ナイトランのための装備を準備することが出来なかったら、きっと24時間で600kmを走ることはできなかったと言える。


そして今回のメンバー全員が長距離を走るスペシャリスト、決して速いだけではない、各自がセルフマネージメントできるという意味でスペシャリストだったので走っていて本当にストレスなく走ることができた。
お互いの弱点は他のメンバーがカバーすることでペース配分だけでなくミスコースや走行中の判断など、みんなで乗り越えることができた。
俺自身はメンバーが詳細まで詰めてくれた600kmのルートを、ある程度下調べしてペース配分を組み立てるだけのことに専念できたし、今回の5人でなければきっとこの600kmクリアーはできなかったと言って過言ではない。

まだ朝の8時過ぎだというのに太陽が高くまぶしく感じられる。
24時間走り続けたのにまだ睡魔に襲われることもない。興奮状態なのだろうか


ひとまず今年1年の上半期の最大の目標は達成できた。
まだ400kmや600kmの走行時間の記録短縮をしたいという気持ちはあるが、現時点ではもうそこに「グッ」と入るものは、ない。
今は気持ち的にはゆっくりと休みたい、それだけだ


走行データ

  • 走行時間:24時間18分
  • 走行距離:616.99km
  • 平均時速:29.4km/h
  • 平均心拍数:99回/分
  • 平均ケイデンス:83回/分
  • 積算高度:2,130m
  • 消費カロリー:12,777キロカロリー


使用バイク

  • フレーム:コラテック・サニーノスクアドラDURO 2012年モデル
  • 使用コンポ:カンパニョーロ・スーパーレコード11S(2009年モデル)
  • 53Tx39T 11〜25T
  • 使用ホイール:MAVICコスミックカーボンSR
  • 使用タイヤ:MASSA T2301
  • 使用サドル:FIZIK クーヴァ

ストップ時間


関宿のコンビニを抜け・・・ここから河内金江津まで約70kmを2時間20分以内で走らなければいけない・・・



22時間経過
目標通り河内金江津へ
その瞬間、24時間600kmというものが見えた瞬間だった



最後の50kmへ走り出す



犬吠埼へ辿り着く
愛知県三河安城から千葉県の犬吠埼
冷静に考えると24時間でこれだけ走れる自転車に感激だ