2012 Fleche


伊東の町を抜けると日が暮れて真っ暗になり、時間の感覚もわかりづらくなる。
まだ19時にはなっていないのに真夜中のようにも感じられる。
グループの先頭を走ると自分のライトの照らしている部分だけが明るくなり、そこからの情報だけを頼りに走っていく。
それ以外の情報はほとんど入ってこなくなり、その中から少しでも自分に有益な情報をインプットしようとしていく。
曲がりくねった海岸線を車が通れば、どこに道があって勾配がどのぐらいか理解できるし、民家の明かりがあればだいたい道がどのあたりまで上ったり下ったりするかも推測できる。


しばらく走ると今回のメンバーで最年長の上保さんがけっこう(体力的に)きついので後方待機でお願いしますとのこと。

今回は最小メンバー(3人)ででもゴールしようという雰囲気があったが、逆にそれと同じぐらいに可能ならば全員でゴールしたいという気持ちだ。
序盤から上保さんにはあまり余裕があるとは思えなかったし、それは他のメンバーも同じ。
自分と同じラインでは考えていなかったので極力先頭でペースを作るようにしてきた。
あとはこのまま追従してきてもらい、なんとかみんなでゴールしたいところだ。


熱海、湯河原、真鶴
ミヤタ時代に何度も見慣れた地名。
ここから熱海峠や大観山や箱根にも足を運んだ。

これから走る厚木方面から愛川、相模原、八王子に向かう方も走ったことはあるし地理感はある。
真っ暗でも不安が少ないのはそのおかげか・・・
そのうち遠く海の向こうにライトアップされた小田原城が見えてくる。
冷たい北風で体力は徐々に削がれて判断力や集中力は低下してきている。
なるべく率先して他のメンバーに喋りかけたりしてテンションを維持するようにする。
「あ!小田原城やで!!」
ほとんど子供の会話レベルだが、結構これが眠気を覚ましてくれ集中力を維持してくれる。
そして小田原の町に入り国道1号線
東へ向かうのも北へ向かうのも向かい風。
下手をするとこのままゴールまでか・・・
伊豆半島の向こう側で見た雪が降る富士山からするともっと冷え込む?雪が降る?
そんなことを考えてしまうほどの寒さだ。

小田原厚木道路沿いの直線道路。ミヤタ時代に何度も走った道だ。
ここでもローテーションのピッチを短くして進んでいく。
厚木のチェックポイントのコンビニまであと10km弱、みんなすごく消耗してきているのがわかる。
伊東から80kmほど、3時間ほどノンストップ。
感覚は麻痺しているものの・・・いや、麻痺しているということは疲れているということ
とにかく暖かいものを食べて体の中から温まりたい。

鮫島さんは先々週の静岡でも体調が悪く、今回も迷惑をかけないかとか、非常に不安を抱きながら、途中でUターンするかも、とスタート前からネガティブなコメントが多かったが、いざ走り出すとすごく好調でここまでペースをうまくつないでくれてきた。
さすがにこの厚木直前でローテーションのスピードは低下し、寒い!を連発していたが・・・

コンビニ到着。午後9時10分を回っている。
かなり冷え込んでいたのか体中にホッカイロを貼りましたよ!!と元気に喋っていたのだが、その5分後突然体調が急変し嘔吐が止まらなり、全て吐き尽くした感があった。

ここまでかなり好調で追い込めてしまい、この低温で悪天候の中を体力レベルをかなり低下させてしまったことが原因か・・・
しばらくここで回復を待つが改善する気配はない。
ひとまず次のチェックポイントは30kmほど先の八王子。
様子を見ながら走行開始。これ以上止まって回復を待っても回復するかもわからない。
全員で完走の最低ライン(600kmで申請をしているので20%マイナスの480km以上を走れば完走扱いにはなる)で妥協するのか、それとも600kmの申請距離を狙うのか・・・
ここまで来たら最悪の場合、全員でなくとも600kmはクリアーしたいというみんなの願いもあり、このまま走り出す。


さっきのコンビニではかなりバタバタしていたのか、スタッフが俺のボトルを交換し忘れている・・・(泣)
両方とも空っぽだ。うっ・・・
30km先の八王子のコンビニではほんの少し止まればいいかと思ったが、ボトルの補給は必要っぽい(笑)
鮫島さんは後方でなんとか行けるところまで行こうと食らいついてきているが、愛川からの登りで千切れてしまった。
そして鮫島さんは残念ながら八王子のコンビニでスタッフの車に乗り込み、リタイヤ。
逆に俺達4人は鮫島さんの分も頑張らなければ、という気持ちで午後10時56分、残り200?、八王子を後にする。

ここからは低温で果てしない200kmの始まりだ