パリ〜ブレスト〜パリ エピローグ


ゴール地点からホテルへ
たった10?ほどの道のり、それも半分近くは下り
なのにゴールした途端にあちこちが痛いのと集中力が切れてペダルを下に降ろすことすらままならない。
股ずれでどっかりと座ってぺダリングもできない
それすら気にならないほどゴールまでは集中していたのか・・・
ベルサイユ宮殿近くの緩い登り、ホテルまで300m続く2%ほどの登りとも、歩いて登ろうかと本気で考えるほどに消耗している。


ホテルに着いてスタート前に自転車が盗難に遭い走れなかった方の部屋へ行き、俺の部屋のカギを受け取る。
しかしカードキーが反応せずフロントへ対応してきてもらう
その間廊下に腰を下ろしたら、自分でもびっくりするぐらいの爆睡モード
軽くウトウトじゃなく、睡眠が深い感覚だった
よくブルベをしている人たちが「どこででも寝られるよ、自販機にもたれてとか」って聞いたことがあるが、まさか自分がホテルの廊下でって・・・
フロントに行ったが言葉が通じなかったそうで、再度俺が行ってカードキーを再登録してもらう。


部屋に入るとそのまますぐに来ているものを洗面台へ
まず着用しているものすべてが鬱陶しい。とにかく何もかも脱ぎたい。体に何かが擦れているのが不快だ
このまま寝たらウェアーが臭くなってしまいそうだったので、今の勢いのままで洗濯。

そしてバスタブにお湯を溜めてリラックス、もちろん浸かってすぐにしばらくだが寝落ちしていた
意を決して洗濯物を干し、ヘルメットやシューズにファブリーズし・・・
ある程度片づけ終了
なんとか自分の目標だった23日中に就寝を果たすことができた・・・


朝7時過ぎ
思いがけず目が覚めてしまう
もちろん目覚ましもアラームをセットしていない
疲労困憊過ぎて寝られないとかじゃないみたい
妙に体もすっきりしている。もう一度寝ようと思ったけれど寝られず、レストランに行くと落合くんが「生還」していた
彼はスタート時点で消耗していたが、その後は淡々と走りつづけ55時間半ほどでゴールしたらしい
彼のすごいところはガクッとペースが落ちないところ
上がるところはないのだが、落ちないのだから一気に後退しない

話が弾みながら朝食を楽しむ

とにかく食べる、そして寝る
さすがに今日はなにもしたくない・・・
部屋でゴロゴロ
夕食も自転車で1kmほど離れたレストランへ
歩く気持ちになれなかった



1,200kmという距離は体もだが自転車にも相当ダメージがあったようだ
自転車をチェックしてみるとあちこちにガタが出ているし、新品で挑んだものでも傷んでいたりしていた。
スプロケットのロックリングがかなり緩んでいたのにはびっくり
今まで自分で組み付けて、ここが緩むことなんてなかった
ほぼ新品のサドルも妙になじんでいたし、チェーンは新品だったが普通に1200kmほど走ったときの状態よりも状態は悪い
タイヤもパンクはしなかったものの傷だらけだった

今自分はまだいくつかのスポンサーに応援してもらいながら活動しており、今回使用したパーツの中には改良の提案が出来そうなものもいくつか発見することができた。


8月28日 パリからドバイ経由で関西空港へと到着
長旅で疲れたのかPBPの疲れが体を覆っているのかすらわからない
長旅だと言われればそうかもしれないし、PBPだと言われればそんな気もする
ついこの間の出来事だが、まるではるか昔の出来事のようにも感じてしまう


既に気持ちは4年後へ
53時間16分というタイムは今までの日本人で言えば上出来だろう
しかし一番光り輝いていた先頭グループで展開でき、そこにいること自体は自分の能力で不可能でないことも理解できた
ならばもう一度チャレンジし、今度はもっともっと高いところを目指してみたいと感じた
体はまだまだ本調子じゃないけれど気持ちは既にリフレッシュしている

そして俺の4年後へ向けた旅が始まった


後日談シークレットのコントロールポイントでならなかったアラーム、どうやらセットされて鳴っていたようだ
ゴールして2日後、アラームの音が2時過ぎに鳴り響いていた・・・



走り終えて夕食はステーキとフライドポテト
これを食べても太らない自信と確証が、ある(笑)


ベルサイユの町中から見た夕焼け
赤さが素敵だった