師匠

masahikomifune22006-06-26

昨日の全日本、三浦(恭資)さんは強かった。
人間、歳を取ると・・・と言われるけれど、「気」というものが年齢と言うリミッターをも解除してしまうと言うことを証明してくれたはずだ。一体何人の若手が三浦さんに負けたのか・・・それは成績だけじゃなく、気持ちも含めて。
三浦さんが全日本の監督になることは、ずっと三浦さんに憧れて競技をしていた俺にとってすごく嬉しいし、今までの実績、そして損得勘定抜きで強い日の丸を作ろうとするその姿勢が報われたのかなと言う気がする。

様々な状況が左右し、最終的に進む道が変ってくることがある。
三浦さんの全盛期は、まだヨーロッパでプロで走るという道筋がなかったし、それを彼ら先代の選手達は模索しながら道を作ってくれた。
俺自身オランダに行くとき、三浦さん達が所属していたスギノテクノのオランダ遠征の記事を穴があくほど参考にし、挙句、三浦さんの家へいきなり電話して「強くなりたいです。どうしたらいいですか?」と高校の頃に失礼にも聞いたことを思い出す。プロになってからも三浦さんの自宅へ妻と一緒にお邪魔し、家族ぐるみでお付き合いさせてもらったり。
もし三浦さんのように、自腹ででも海外に行って上を目指そうと言う人がいなかったら、今の日本はなかっただろう。俺も三浦さん達の辿りついたところを抜かなければと言う思いで走ってきた。
もし俺を含めて三浦さんの時代に、今のようなシステマチックな欧州へ行く道が整備されていたら・・・しかし現実はなかったし、なかったことでここまでやってくれたのかも知れない。
サッカーに例えると三浦さんは釜本で、俺はカズで、今の世代は中田や中村、小野達かも知れないと考えている。

意外と思われるかもしれないが、上記のように三浦さんと俺の親交はかなり古く、同じチームで走ったのは97年のトニステイナーの1年だけだが、チームを超えて相談したりレースの話などを語り合う仲でもある。仲と言うより俺にとっては国内の師匠であり、三浦さんを超えることが目標だったかも知れない。
現時点では越えていると評価されるかも知れないが、俺はまだまだ越えていない多くのことがあると思っている。それは若い選手が単純に肉体的には優れていても、いままでの経験や知識、人間的な部分を含めての部分では「まだまだアマちゃんだな」と感じるように、三浦さんを前にしては「まだまだ俺も修行あるのみだな」と思う。

今後三浦さんは監督業が忙しくなり、ひとまず現役にピリオドを打たれるが、三浦さんとの関係は違った形かもしれないが、今までと同じように師弟関係、そして一緒に強い日の丸を作ると言う意味で夢を見て、そして現実にしていきたいと思う。

三浦さんが現役を退くことで、俺が現役最年長となってしまったが、
三浦さんのように集団の中で「キング」になれるのだろうか。
(昨日のスタート前の三浦さん。ナショナル、ミヤタ、スギノ、シマノ、トニステイナー、JPPなど数多くのチームで活動。最後はマトリックスのウェアで締めくくった)