2018.02.13 四国一周サイクリング02 松山〜八幡浜〜宿毛

masahikomifune22018-03-19



今まで長い間えひめ国体に向けて愛媛県自転車競技の外部コーチとしてお手伝いさせていただき、もう何回来たかなんて覚えていないほど松山にやってきた。
多分地元京都府南部の次に知り尽くしている地域なのだが、意外と平日の朝に松山市内を自転車で走るというのは今日が初めてなのかもしれない。


通勤通学ラッシュの中を伊予鉄郡中線に沿うような感じで伊予市そして国道378号八幡浜を目指す。週末には交通量の少ない走りやすい道という印象だけが、改めて平日に走るとそこには生活があり、けっして自転車に絶対的に適しているわけではない。
道路というものが元来「みんなのもの=公道」。そう考えれば車にもサイクリストにも、みんなにとって都合の良い道であることが、一番いいことだ。そこを我々が走っているに過ぎない。今回も前から通学の学生がやってきたり、出勤で急いでいる人の車が交差点に入ってきたり。きっと向こうも「平日の朝なのに、何を自転車で走っているんだ」と思っているかもしれない。公道らしく、皆でシェア出来て嫌な思いをしない・させないのがベストなのかもしれない。


今回のルートプランは実はありきたりの四国一周をしたくなかったのでいろいろと考えたが、まずは宇和海を見ながら海岸線をトレース。しかしこれは結果的にはベストルートというか、このルート以外は選択肢がない状況だった。

なぜなら寒波の影響で八幡浜以降内陸部は朝の時点では積雪で自転車で走れる状態ではないようで、知人からも雪かきがどうのとか聞いていたので、このルートしか無理だったようだ。


四国一周サイクリング チャレンジ1,000kmプロジェクト(以下四国1,000)の推奨ルートを走ると合計950kmほど。可能であれば1,000kmを超えた距離でゴールしたい。
このプラスアルファの部分は各々のオリジナリティの部分。観光で寄り道しながら一周するのもよし、推奨ルート以外に自分のテーマを見出すのも良し。

今回はあくまでも推奨ルートベースながら、あえて宇和海トレースルート。さすがに愛南町までをトレースするのはとんでもない距離になるので、ここはぜひ次回のチャレンジに置いておきたい。
このほかにも内陸部の四国カルストや大大歩危小歩危など、魅力的で寄り道したいルートはたくさんある。


思いのほか冷たい向かい風が国道378号に入ると始まる。
いきなり冷たい向かい風の試練かよ・・・
そんな気持ちと共に最初の撮影ポイントに考えていた長浜大橋へと進む。
ここは開閉橋としては日本最古。地元では通称「赤橋」と呼ばれている。まさに「インスタ映え」でしょ!
と、長浜を前に吹雪・・・なんなんだ!なんの試練だ??
長浜大橋の手前にきれいなトイレのある休憩所があり、ここで早速のレインウェア着用。
正直レインウェアをこんなところで着るなんて思いもしなかった。
しかしこの休憩所施設、夜は施錠されているのでは?とは思うのだが、使い勝手がよさそうなので四国一周の際には記憶にとどめておくと何かの役に立ちそうだ。

今回のように天候が悪いとき、一度荷物を引っ張り出したりするのに屋外でするのと屋内では全然違うし、トイレも新しくて清潔だ。ということで国道378号を少しそれての赤橋通過は必須にすることをお薦めする。


この後も雪がやんだり降ったり
長いトンネルを超えるとそこは八幡浜。快晴で別世界!と期待したが甘かった。
道の駅 八幡浜みなっと
に到着。ここで昼食を最初から考えていたが、ワクワク度が若干下がってきているのは単純に天気のせいだろうか。山からどんより低気圧雲、雪雲が押し寄せてきては雪を落としてくる。
気を取り直して食堂へ。こういう食堂での食事のいいのは、ちゃんとした素材でちゃんとした食事ができるということ。どうしてもコンビニやファミレスは鮮度と言うことへのこだわりはもちろんない。

道の駅でちょっと奮発して海鮮丼。疲れているときほど素材の良さ鮮度の高さを感じる。刺身ということでレースの世界に身を置いていた時は、前日や走行中には絶対摂らないものなのだが、今はこんな食事を含めて自転車を楽しんでいる。何よりもこの鮮度がいいものを食べて気持ち良く走れるというのは、何日にも渡ってペダリングしていく旅には「着火剤」のように体に必要なものだ。
顔も気持ちもゆるんで喜んでいる自分に気づく。さぁ、次の休憩は宇和島宇和海の海岸を堪能していくぞ!と店の外に出ると自転車が真っ白でいきなり仰け反ってしまった・・・


今回の宇和海ルートは以前ブルべで走行したときに感動し、ぜひ機会があれば再び訪れたいと思ったのがきっかけ。どこまで行けるかな?とルートを考えていたら、面白そうなので行けるところまで行っちゃおうとなった次第。左の山手はもう暗雲に覆われて
「まるで楽園と暗黒の世界の境界だな」と。
きっと知人は今日も雪かきしているに違いない。
それでもときおり雪が舞い落ちる。路面も所々でさっきまで雨だったのか雪だったのかウェット。3日間走り続けるのでマッドガード装着しているが、これは絶対にお薦めだ。
ロードバイクでウェット区間を走行した場合、体が濡れるというか腰やお尻そして足先が濡れるほとんどの要因はマッドガードなしでの自分の跳ね上げが原因だ。
腰やお尻が濡れないだけで体力やスピードの低下はかなり免れる。
実際マッドガードの走行抵抗は一度厳密に調べてみたいと思うのだが、長時間になると走行抵抗よりも体力消耗でのスピード低下の方が大きく影響していると思う。

宇和島までの断続的な雨や雪、ウェット区間もそれほど気にならなかったのはマッドガードのおかげと言えるだろう。


今回タイヤはオリジナルタイヤのMASSA T2301。
普段使用しているT2601を使わなかったのはダンシングを多用して簡易式なマッドガードとの干渉を避けたかったから。
どうしてもバイクに結束バンドとゴム製のバンドで固定するので、一応問題なく固定はされるのだが、衝撃などで振動しているときにダンシングなどで太いタイヤだとこすれていたりする。そのストレスをなくしたかったのと、実際T2301は他の23cのタイヤに比べると接地面がフラットに近いので23cの割には1サイズ太いタイヤに似た走行フィーリングで安心できる。

八幡浜宇和島予讃線沿いに進めば40km弱、2時間ほどの工程だが海岸トレースすると90kmほどになる。アップダウンも考えると倍以上の時間が必要だ。
八幡浜で昼食したら宇和島はいらんだろ!となりそうだが、この距離・時間だとちょうどよい、というかここを逃すと食事の心配をしないといけない。

八幡浜での海鮮丼があまりにも美味しくて、またここでも海鮮丼を注文してしまった。
ここからはナイトランで食べる方もままならない。そう考えたらここはちゃんと体が喜ぶものを食べよう、と(笑)

本当は生ビールなんかも魅力的なのだが・・・
もし次回時間を用意できるなら、ここは必ずビールとセットでいきたいものだ。
少し太陽の傾きが気になるので少し急いで食事。そしてここから先もコンビニ等はあまりないので道の駅の中のパン屋さんでパンを購入。これが実は功を奏した。
フロントバッグやリュック、大きなサドルバッグを装着して少しスペースに余裕があるならば、ナイトランへと向かっていく時間帯は必ず少し余分の食料を保持しておくほうが良いだろう。



宇和島を出発し夕陽をどこかで撮れるといいなぁ〜と九島を右手に見ながら走っていると、左コーナーのコーナーミラー、犬がこちらに向かって走ってきている。田舎だし放し飼いか、と思っているとそれはイノシシ!
こちらを見た瞬間にUターンし近くの民家の駐車場に入り込んでフリーズ。
うわ!と思いつつも写真を撮ろうと思ったのだが、万が一にもこちらに向かってこられたら大変、と先を急ぐ。
この先もこんなことは十分にあり得そうだ。少し気をつけて走らないと危険かもしれない。


苦しんでいるときほど、辛いときほど夕陽や朝日が素晴らしく、まるで今いる世界とはまったく違う世界のもののように感じるときがある。
前半から冷たい風にさらされ、雪が舞い路面がウェット。まだこれから900km走るのに!と八幡浜では重い気持ちで通過し、自分で選んだ宇和海リアス式海岸ルートも、地図上で言うと全然前に進んでいない。思いのほか気持ちは疲れているのだろうか。
そんな時だからこそ夕陽が格別に素晴らしく感じる。
宇和海に沈んでいく太陽を見ながらも、それでも何も変わらずペダリングしていく。
ここからはナイトライド、景色を楽しむことはできないが、走っているフィーリング、アップダウンやコーナーリングなどの体感的なもの、ライトの光で照らされた世界だけが感じられる世界。
今回は撮影用カメラをハンドルに固定する関係でキャットアイVOLT1700を1灯で走行。もうひとつをスペア、さらにVOLT800をスペアで持参している。
光量を上げるとゴールまで持たない。だから約15時間使用できるローモードでの走行をメインに使用。ローモードでも200ルーメンなので、通常の走行なら問題ない。

県道287号から宿毛街道へ出てくる。思いのほか暖かい。俺の読みは当たったか。これで寒波を気にせず黒潮の影響を受ける海岸線を走っていけば、途中道の駅などで仮眠しても大丈夫ではないか?妙にテンションが上がってくる。そのテンションの勢いで予定していなかった由良半島へ。
アップダウンとすごく細い道路で宇和島〜愛南〜宿毛という進路を考えると恐ろしく進んでいない。が変なスイッチが入ったからかあまり気にならない(笑)
生温く感じられる風の中を、結構時間をかけてしまったが由良半島もトレースできた。
トレースしたとたんにお腹が少しすいてきて、そして少し休みたい気持ちになってきた。


考えてみれば昨日までの3日間ずっと走っていたんだった。ちょっと疲れたか。道沿いのファミレスを発見し、食事をして少しシューズを脱いで足を伸ばしたい。そして寝られるなら少し寝るのもいいかもしれない。
ここまで道の駅で新鮮な海鮮丼ばかり食べていたからか、ハンバーグを食べたが何か体が喜んでいない。贅沢病か?はたまたこれが人として正常なのか?
自転車に長く乗っていると、人としてっていう部分にすごくナチュラルと言うか、人の持つ本来の姿に戻っていくような気がしている。
都会の作られた世界で歯車のような生き方をしていると、生きているという感覚が生身ではなく機械的すら感じられる。より自然なものを口にして、自分の力で自転車を走らせ、汗をかいて進んでいる、生きている、そう感じられるのが本当は一番望んでいること、こんな旅をしていると一番得られる貴重なことなのかもしれない。


食事を終えて体を深く座らせて休む。でも寝られない。だったら、デザート!(笑)
甘いものを食べて寝られたら寝るし無理なら走りだそう。

結局寝れなくて日を跨ぐ前に出発。お店を出るとさっきまでの生温さはどこに行ったのか震えるほど寒い。
こりゃちゃんと漕がないと寒い。本当は愛南を出て県道7号で登って海岸線を走ろうとしたが予定変更。宿毛まで国道のまま進むことにする。


県境にある気温表示はマイナス3℃。なんでこんなになってしまったんだ!
宿毛って知らないだけかもしれないが黒潮の影響を受けていそうだし、氷点下のイメージがない。ここまでくれば朝方でもきっと暖かいだろうと思ったのに。って由良半島付近の手袋要らない!って思った暖かさは何だっただろう・・・


宿毛の道の駅「すくも」に半ば避難。寒い、寒すぎる。
避難と言っても夜間閉鎖。開いているのはトイレのみ。
トイレの建物の中にあった長椅子に一度自分の荷物を広げ、防寒具になりそうなもので身を包みなおす。
冷たい空気を吸うと気分が悪くなる。ウィンターキャップを深くかぶって、それまで頭に装着していたヘアーバンドをマスクがわりに。そしてタオルを首に巻いてマフラー代わりに。
予備で持っていた貼るカイロをお腹や肩などに貼る。
レインジャケットにレインパンツも着用。とにかく体に冷たい風を当てないようにしていく。
持っているものをいかに使うか。
装備はたくさんあるほうがいいが、たくさんあると重くなり走力が落ちる。
持っているもので切り抜ける、持っているもので切り抜けられる装備を考える。
ロングライドではこれに尽きるだろう。

トイレも別に密閉されているわけではないし、準備を整えてさっさと走行。止まれそうなところがあれば止まればいい。今は止まっても仕方がない。先を急ごう。


愛媛県はサイクリング推奨コースにはブルーラインが入っており、なんだか守られている感もある安心して走ることができる。



長浜大橋で写真
急に吹雪、このままずっと続くのか??序盤の試練はなかなか重いぜ!


昼ごはんに海鮮丼。すごく体も頭も喜んでいる
\(^o^)/



食事を終えて雪が降る中を出発



山側からどんどんと黒い雨雲がやってきては雨や雪。
路面もびっしょりだが太陽は顔を出している。
もう少し進めば天気は回復するかもしれない・・・



宇和島へ近づくにつれて徐々に天気は回復、そして路面はドライに、太陽の光を全身に浴びる。



夕暮れ
この色の変わっていく瞬間は何度見ても見とれてしまう。
そしてここからは闇の世界。本来は獣の世界(と自分は定義している)



ナイトライドは光が当たって見えている世界のみが存在する世界。
そして夜に見る景色は昼間とは違う。



高知県へ。日が変わったので松山から16時間かかった。
しかし寒い・・・氷点下3℃!



持っているものでの防寒対策を終えた。足摺岬へと向かうとしよう。