チーム解散

ご存知の方も多いかと思いますが、現在国内最高峰ジャパンプロツアー(以下JPT)に登録していますJPスポーツテストチーム-MASSA-ANDEXとして活動していますチームマッサですが、今季をもってチームの活動を終了します。


2005年より本格的に活動を開始。当時はマサヒコミフネドットコム・サイクリングチームと言う名でクラブチームとして出発。そして2009年からは、より上を望むために下位チームから独立し、現在に至ります。
その間、多くの企業様やサポーターに支えていただき、クラブチームとしては別格なサポート体制を今日まで続けてくることができました。
過去には海外コンチネンタルチーム移籍への橋渡し、元在籍者からはプロコンチネンタルチームで走るもの、シクロクロスの日本チャンピオン、アジアチャンピオンなど輩出。
この数年の成績だけを見ると停滞しているかもしれませんが、常に一貫したビジョンで若手の育成そして頑張る選手を応援するというスローガンはブレることなくおこなってこれたのではないでしょうか、と自負しています。

実業団の上位カテゴリーがJPTとしてステータスも高まり、地域密着型チームが中心となる中でも、あくまでも若手育成や頑張る選手を応援するスタイルに地域は関係ない、と言う思いから、あえて地域と密着する方法を取らずに活動してきました。

この3年ほど、少し自分たちの活動に対して疑問が生じてきました。
周りの経営努力が素晴らしいこともありますが、チーム母体のクオリティが高まり、まるでプロチームのような体制の組織も増えてきました。
その中で自分たちのチームは、あくまでも人を育てるのが目的であり、選手にモノやお金をあっせんするための組織ではない、本当に必要なら、欲しいのならば実力で獲っていって欲しい。と言う考えです。
しかしチームのクオリティが上がり、各チームが多くのモノ、多くのお金を選手に用意できる。そうなれば自分たちのチームに魅力を感じないのも当然だと思います。


自分が理想としている「選手像」と、選手たちが望む「理想のチーム」とは徐々にかけ離れていってるという思いが、この2年ほど感じられました。
たぶんそれが成績に反映され、結果的には素晴らしい才能を持った選手たちを有していながらもチームランキングはほぼ最下位という成績に終わり、スポンサー企業様、サポーター、そして選手からも失望されたと思っています。
自分自身にこれ以上監督を続ける資質はないと思いますし責任を取る必要があると思っています。
そして今JPTのチームに求められるチーム体制もないと判断し、来期のチーム継続を断念することにしました。


もしかするとJBCFに嘆願すれば来期もチームを継続することはできたかもしれません。
しかし自分たちよりももっと素晴らしい体制を準備しているチームに、そのポジションを活用してもらうことも必要だと思います。

自分自身が一番無知で一番迷惑をかけていたことは理解しているつもりです。
ただ、多くの人たちがそれを支えてくれていたということだけで、本当に皆さんのおかげでここまで来れたことに感謝の気持ちしかありません。

大好きなロードレースの世界ですが、今年を最後に完全に現場から離れた、ロードレースを始めた頃のようなミーハーで何も知らない立ち位置で見られる世界に戻ろうと思います。
今後はこの業界をしっかりと引っ張っていける素晴らしい才能のある人たちが心配しなくても盛り上げてくれるでしょう。


才能のない自分でもヨーロッパでプロで8シーズンもプロコンチチームと契約し、フランドルやLBLをはじめ多くのクラッシックレースに出場することができ、いくつかのレースでもトップ10で走ることができました。
きっと今の才能溢れる若い選手ならば間違いなく自分より上にいけるはずですし、それを支えるシステムができつつあります。
今後別府くんや新城くんのようなスーパースターに続く選手が日本のロードレース界から出てくることを楽しみにしています。
しばらくは国内ロードレース界をプレッシャーのないところから、楽しく見続けられたらと思います。


応援していただいたすべての皆様、本当にありがとうございました。




2005年、チームマッサの前身となった「マサヒコミフネドットコム・サイクリングチーム」発足。
現在も同名で実業団登録していますが、チームマッサに名称変更し、上位カテゴリーをチームマッサ、下位カテゴリーと未登録のクラブチームとしてマサヒコミフネドットコム・サイクリングチーム」という区別化をおこないました。



女子シクロクロス界の第一人者である豊岡英子選手も元々チームメンバーだ。
そして世界選手権にも派遣され、チームとしては初めての快挙だった。



私が監督として現場に足を運びだした2009年は、飛躍の年となった。
春の合宿はツールド熊野の視察をかねて新宮へ。
新宮市長を表敬訪問。



クラブチームとして唯一ツールド熊野でUCIポイントを獲得し、長野県の美麻で開催されていた美麻ロードでチーム初の実業団レース表彰台を獲得した伊勢直人。
チームの全盛期を引っ張ったメンバーの一人だ。




今年のU23のアジアチャンピオンで来季から海外プロコンチネンタルチーム「ニッポ・ヴィニファンティーニ」で走ることが決まった小石選手も元はチームマッサ所属。


2015年は酸いも甘いも経験した。
しかし本当にいいメンバーと一緒にレース活動を行うことができ、今回のメンバーは選手・チームと言う関係だけではなく、きっと将来にわたっても良い関係を築くことができるだろうと思う。