2014BRM614中部600 全部乗せ 04

設楽のPCをスタートしてしばらく行くと新段戸トンネルへと続く峠。
10km以上登り続けるこの峠が、今日最後に残る大きな峠だ。
他のブルベなどで走り慣れた道。
それなりに長いし勾配もまずまずあるからきついが、道を把握しているだけでも気分的には楽だ。


長いトンネルを越えて下るがほんの少しまだ登りが残っており、そのあとは足助まで長いダウンヒル
標高だけでいうと、こんなに長く下っているはずはないと思うほど長い下りに感じる。
まだ早朝の涼しい山の空気を切り裂いて走っていく。車もいないしたった一人でこの素晴らしいダウンヒルを独占していること、美味しい山の空気を切り裂いていること自体がすごく贅沢なことに思えてきて、おもわず頬が緩んでしまう。
高度を下げていくとそれまで清々しくて涼しかった風も徐々に粘りを感じ、ひと時のぜいたくな時間もおしまい、ゴールへ向けて最後の小刻みなアップダウンと交通量の増える町の中も走らなければいけない。


最後のPCへ向けての登り、猿投あたりから三国山をぐるっと迂回するルートなのだが、K33からK352になり、10%ほどの坂を登り続けていくと、岐阜県境を越える。
越えた途端にK352はK112に変わった。
キューシート的にはK352を進んで交差点で左折、特にK112になるということは記載されていない。
ということは、これはミスコース??
左側には三国山、左折ルートはここまでなかった。
ということは・・・
もしかしてかなり手前から間違っていたのではないだろうか?
このあたりも過去に走ったことはあるのでなんとなく確認も薄かったかもしれない。
躊躇せずそのままUターンし登ってきた峠を勢いよくダウンヒル
走ったルートを逆走していく。
キューシートに交差点名の入った場所などで位置確認・・・んんん???

あってるじゃないか。
再びキューシートを確認しながら走り始める。
しばらくするとやっぱりさっき走った峠に差し掛かった。
嗚呼、さっき苦労してようやく登りきった峠を、また登るはめに。

再び岐阜県境へ。
そこからしばらくで頂上、一気にダウンヒル
すると1kmほど向こうに交差点があり、どうもそれがキューシートに記載されている交差点のようだ。
距離も間違っていないが、完全に県境後に県道番号が変わることをスルーできなかった。
こういう柔軟性がなくなってくるのがオールナイトで走っているときに怖い判断力の低下だろうか。
体力の消耗よりも自己嫌悪で一気に疲れる。
そして瀬戸品野のPCまではダウンヒル。この地域のメッカともいえる場所なのか、ひっきりなしにサイクリストが登ってくる。

最後のPCではまるで応援に来てくれたのか!!という感じで何人かの人に応援されて握手したり一緒に写真撮ったり・・・
い、いかん
お尻に根っこが生えて長居そうだ(笑)
スタッフさんとも少し談笑してスタート。


さすがにこの時間、この場所だと暑い。
わずか4〜5時間まえまでは涼しく気持ちよく走っていたとは思えないほどに。

常光寺へのダウンヒルは何度か走ったことのあるルート。
簡易舗装になった滑り止めのついている急こう配で15%ほどはあるだろうか。
庄内川を渡り住宅地の中のK53は意外と見た目以上に勾配がある。
何よりも蒸し暑く、かなり気温が上がってきているのか、ボトルのドリンクも予定下より早いスピードでなくなっていく。最後のPCから50kmほどだから2時間持てばいいし、と思ったが・・・どうも最後15kmは飲み物は空っぽになりそうだ。

ラスト20kmあたりになると見覚えのあるルート。
ここからはキューシートの確認もなく普通に走れそうだ。
堤防沿いの道路は向かい風、最後の最後に向かい風のお出迎え。
振り返ってみると600kmものあいだ、風には恵まれていた。
たぶん風を感じたのは日本アルプスサラダ街道ぐらいか。ここは登りを重なって吹きおろしできつかった。

29時間53分で無事ゴール。
何回か道を間違えたりPCで他愛もない世間話をしながら走った割には、思った以上に速く走ることができた。
途中で薄々と感じてはいたが、獲得標高的にはSR600となんら遜色のないコースなものの、どこまで頑張っても常に「酸素」を感じることができた。


SR600、FUJIのコースで何がきついかというと、軽井沢から大津へ向かう榛名山横のルートは意外と頑張る必要があるので体力を削がれ、そしてそこから2時間半ほどヒルクライムで標高2,000m以上へ。
一度完全に下るものの急こう配の菅平への登りで体力的には完全に底に。
そしてそこから標高2,000m超の美ヶ原への登り、登りきったら標高1,500mまでしか下れず、酸素供給はされないままにビーナスラインをひた走る。
霧ヶ峰を越えるころには自分でもびっくりするぐらいに酸欠状態で普通に走ることもままならない・・・
そんな感覚を持って走っていると、今回のコースは登り自体の距離はそれなりにあったものの、リカバリーはある程度された状態で次の登りへと進めたし、頂上で大きく深呼吸したときにきちんと体に酸素が入っているって実感することができた。

振り返ってみれば、もっとペースアップして28時間以内では帰ってこられたかなと思うが、このブルベは自分の中で今後に向けて思うことがあり、そのペース配分だったり気持ちのコントロールだったり。
そんなテスト的な意味合いもあったので、これはこれでよかったのかなと思う。