近所の夕陽

チャレンジサイクルロードは、もっとも優勝に近い男と予測していた野寺と鈴木真理たった2人のシマノが優勝を勝ち取った。
弱いチームは大勢で出場しようが勝てない、まるでそうあざ笑うかのような勝ち方だった。
真理が登りできっちりとペースアップして集団はバラバラ。古巣のマトリックスもいい感じでレースを進めていて、声には出せないが応援していたけど、あのペースアップで完全にレースは終了。
あの勝ち方をされたら、もうどこのチームもいいわけなんてできないね。
昨日もレースのあとにJスポーツで一緒した栗村監督(シマノ)と話をしていけど、日本は勝ち方とか「どうでも」いいことにすごくこだわる、と言う話で盛り上がる。
俺は1分逃げようが1センチだろうが勝ちは勝ち、だから勝つことにこだわってきた。
登れないと散々言われ「ヒルクライマー」って呼ばれてる選手たちが千切れても俺は耐えてきたことも多いし(現にツールド熊野総合3位になっているし、それは千枚田や札立で俺から離れた選手がいるってことだからね。それに実業団飯田ロードも一桁2回だし北海道も総合6位が2回。確かにクライマーじゃないけどさ・・・)登らないと勝てないレースも多かったんだけどね。
そのくせチポリーニが引かずにスプリントで勝っても誰も文句言わない。頼むからチポリーニは引かないから勝てるんであって、登れないしたいしたことない、引いてみろって言ってほしかったな、そういう人たちに。

そのくせ自分たちは勝つためには何が何でも、って感じじゃない。
だいたいこの数年で野寺と真理でいったい何勝しているの?そう考えたら彼らの動きを完全に封じ込める、徹底マークする、彼らの意表をついて勝負する、そんなことを考えてもいいんじゃないかな。
でもあの力ずくで引きちぎられたんじゃ(それもたったの2人で、ね)黙るしかない。
中盤の動きを見ていると、シマノの二人は冷静だった。
逆に他のチームに冷静さはあまり感じられなかった。
と言うか常に次の動きを考えた走りじゃなかったね。


昨日のフランドルでも同じように感じた。
フランドルでは、優勝候補のボーネンをポッツアートが徹底的にマーク。
前週のE-3では完全にボーネンのやり方を知り尽くしたポッツアートがスリムに優勝。
そしてデパンヌでも第1ステージで勝利。
ボーネンはフランドル前のインタビューで強気の発言(ゴールスプリントでカヴェンディッシュに負けているときも同じように先制口撃していたが・・・これは多分彼の性格だろうししゃーないか)自分からレースを作ってこない元僚友に容赦ない口撃。
E-3のときにボーネンを少し意識したポッツアートのコメント(元僚友でレース以外では仲がいいよ的な)とは違い、「勝つ」と言うことに徹底してきたボーネンのストレスを垣間見た。だいたいベッティーニがチームを去るときにもあまり僚友としてのいい人アピールのコメントじゃなかったし。やはりボーネンはミュセウと同じく王者、自分に反抗する選手にはきっちりと黙らせようとする性格のようだ。

でもあれだけポッツアートが勝負をしないというのは、もしかしてフランドルに勝ちたいと言う部分以外の「何か」が作用しているのかな?とも勘ぐってしまう。
ポッツアートの態度はただ「引かない」「俺はあいつ(ボーネン)をカンピオーネと認めない」というだけのものには感じなかったんだよなぁ・・・
おかげでパリ〜ルーベでは、また違った側面の楽しみも増えたけどね。
しかしプロの世界でポッツアートのようなやり方は、ルールでは何も問題にならないが、モラル的には非常に厳しいものを感じてしまうのは事実だ。
やはり勝つときには戦って勝つ、逆に攻撃してこない(できない)相手の息の根を止めないというのがヨーロッパの貴族的な部分をもつヨーロッパのプロロードレースの世界なのに、ポッツアートのそれは戦いはコロシアムでは闘いはしないが、鎧を脱いだら刺すというような態度(に俺は感じた)は、俺は好感をもてなかったしポッツアートともあろう選手の態度と思えない。

でもそのポッツアートのボーネンだけにはフランドルに勝たせない、歴史に名を残させない(あと1勝でフランドル最多の3勝に並ぶ)という意地なのか嫌がらせ的な態度のおかげで、デヴォルデルは自分の「人生でも最大の目標」としているフランドルをなんともあっけなく(なように見えちゃった)連覇してしまった。
最初はベルギーチャンピオンとして、そして今回はディフェンディングチャンピオンとしてゼッケン1を背負って・・・
これはある意味快挙だろう、一番難しい立場で勝利したのだから。
そしてある意味もっともボーネンの影という立場の中で最も成功した男だろう。

一番面白く感じていないであろうボーネンは、一番力ずくで勝負しやすいパリ〜ルーベでしっかりと「王者」を感じさせてくれるだろう、と期待。
はたしてポッツアートはそのときどういう態度をとるのか・・・
俺はボーネンがすべてを黙らせて、俺が王者だ、俺以外はみんな黙れ!的な態度を望んでいるのだが・・・そうなると、もう誰も文句言えないもんね。
(そうなるとまたボーネン節がすごそうだけど)

話が前後左右、はたまた上下しちゃうけど、野寺選手&シマノレーシング、そして栗村監督、チャレンジロード優勝おめでとう。
王者としてみんな黙らせてください。
そしていつかはみんなでやっつけないと(笑)