2016 第13回 山岳グランフォンドin吉野


今年も奈良県で開催された「第13回 山岳グランフォンドin吉野」(以下GF吉野)にゲストライダーで参加しました。
もう10回ぐらい走っているので、吉野の山間部にもかなり詳しくなってきました(笑)


今年は初めて逆回り。いつもなら野迫川から五条へのダウンヒルは長くて楽しめるのに、いきなりあれを登るんかい!
今まで下り基調で稼いでいたところがダラダラと登るし、逆走のイメージだけでかなり厳しく、それだけで憂鬱。
あとは実際に走ってみてどんな感じなのか理解するしかない。かなり詳しくなったと書きましたが、逆回りとなると話はまた別です。


朝6時スタートなので4時には起床。吉野の景色は朝が素晴らしい。カーテンを開けて太陽が登っていく赤く焼けるような朝焼けを楽しみながら朝食。そしてスタート地点へ。
参加者は過去最高ということだったけど、実際はショートの人たちはスタート地点に集まりきっていないから全体でみるとたくさんには見えなかったかな。

ストライダーとしてマサヒコミフネドットコム・サイクリングチームから笹井秀治、橋本将史、そして竹浪芳晃の3名が参加。
彼らはブルべに一緒に走ったり、各地のイベントに実走スタッフを頼んだり、ある程度の走力と危険予知、最悪な事態の決断力も持ち合わせているので、ただ「速い」とかというわけじゃなく、単独になって一般参加者と一緒に走って不測の事態があったとしても、敏速に正しい対応ができるだろうと言うことで選んだ。
元々は実業団チーム主体で結成されたけれど、最近は竹浪のように実業団レースで優勝するメンバーもいるが、全体的にはロングライドイベントで実走スタッフを担当させていただいたりしています。


クラブメンバーは10秒ごとに2人ずつスタートする間に入ってもらい、こちらは全員を見送った後にスタート。
しばらくは10人ほどのパックで走行。
朝6時半頃なのに涼しさはない。この日はホント朝から暑かった。
そして五条から富貴へ上る峠道、いきなり暑い!とにかく暑い!
今回使用したラファのクライマーズジャージー、かなり軽量で高温多湿な条件でも対応するジャージだけど、それでもスピードの低下する登りだとフルオープンで走行。まぁほかの人よりも筋肉量が多いからか、昔から暑がりで発熱量も多いのだと思う。しかしこのジャージーのおかげでこの日はかなり助けられた。

エイドステーションは最低限の補給を確保して出発。
大塔から天川は緩い登りはスピードにあまり乗らない。正回りだと快適な区間なんだけど・・・

天川のエイドステーションで先行する笹井に合流。もう少し前がいるかと思ったが2人のみ。どうも10分ほどの差のようだ。今回から逆走で参考タイムも存在しないので、このままゴールまでイーブンペースで走り続けることにする。最後尾からスタートしているし、いいでしょ(笑)


行者還トンネルまでの約1時間の登り。平均心拍は130以下で最大で145。
長距離を速く走る際、「最大のスピード」と言っても100mと100km、まして1000kmだと当然違ってくる。100mの走りで1000?なんて走れっこない。
この過酷なGF吉野スーパーロング210kmを速く走ろうとすると、8時間の長丁場で走り切れるペースとなるとおのずと決まってくる。
常に余力を残したペースで走ることを念頭に置く。この辺りは長距離のブルべと同じテクニックだ。

足の郷の登りの手前のエイドステーションで先頭二人の影が見える。3分ほどかな。
試走会で2回登っているが、試走会で登るほど軽やかには走れない。
やはり100kmを走った後の足の郷の勾配はもはや殺人的。GF吉野で使用する峠の中でも足の郷は登りも下りも別格だ。先行する参加者との差は1分30秒から40秒へ。ここでペースを上げすぎているから落とそうと思った瞬間、両足ともに軽く痙攣。
下りで一人パス。そして下りきったところで一度合流し、エイドステーションたかすみの里で先頭に合流。
ここから一緒に走らせてもらうが、速い!
レースというよりもロングライド、ファーストランとしての速さなんだけど、素晴らしく速い。
去年一昨年も先頭ゴール?もう先頭でゴールするオーラがギラギラです。
登りも淡々と速く着いていくのもつらい。と思っていたら下りでスローパンクしたようだ。
国道370号に入ったところでパンク修理。少しだけ付き合う。
2番手の参加者が来たので彼に合流。先導スタッフが既にいない以上、一応関係者として先頭がどこか、そして何かあったら対応することもあるかもしれない。
先頭でゴールすることも目標かもしれないので、事情を説明してこの状況で先頭は引かない旨を伝える。で、やはりパンク修理を終えた先ほどまで先頭だった参加者が合流しそのままパスしていったので、こちらも先頭へ乗り換え。
ゴール前まで彼について走り、ゴール前は彼を単独で見送って少し離れてゴール。
ゴールタイムは8時間08分。


このペースは・・・どうやら速すぎ。体力を削ったどころか生命力も削ったよう(笑)
ゴール後、クールダウンを兼ねて金峯山寺まで登ったが両足とも痙攣。駐車場に戻って食事(うどん)を食べようとしたら、あまりにも苦しくて目が回り冷や汗も。
そして車に戻ってエアコンをかけて少し休もうと車に乗り込んだところで全身痙攣。
車の近くの日陰にタオルを敷いて倒れていて、結局クラブ員3名に介護してもらうという・・・
まぁ本来ならば、親分であるオレを牽いて、楽にゴールまで送り届けるとかするでしょうに、まさか瞬殺で終わるとは(笑)
許さんところだが、最後にぶっ倒れているときに散々助けてもらったので良しとしよう。
ちなみに全工程で食べたものは
前日のスーパーで買った小さな大福餅5個
シリアルバー
エイドステーションでバナナ3本
わらび餅
オレンジひと切れ
う〜ん、補給食をしっかりと摂らなかったことも症状を悪化させたようです。
食欲もなくなっていましたが、どんどん食欲も戻りだし、途中でこってりラーメン。復活の狼煙ですね(笑)


今回使用したバイクはリドレー・ヘリウム。
トップモデルではないが、この吉野のような路面の悪いコースだとフレームの素材的に少し柔らかさがあり、体に直接衝撃の伝わらないフィーリングが気に入ってます。
硬さが必要と言っても、プロレベルの選手が同じプロを相手に勝ちに行くのでなければ、500Wほどの出力を受け止め、巡航で300wに満たない出力にさえ対応してくれればいいので、レースに比べれば硬さは重要なファクターではありません。
ホイールもアルミスポークのように硬い、粘りのないものよりも、ステンレススポークで粘りのあるものの方が快適で、結果的には速く走ることができると思います。
今回ホイールはカンパニョーロ・ゾンダをチョイス。タイヤはMASSA T2601で普通のブチルチューブで空気圧は6気圧。鋭利な石やでこぼこ道を駆け抜けても、ほとんどタイヤに傷がつかないことがこのタイヤがスーパーロングライド、エクストリームライドに適したタイヤで、無理にモデルチェンジする必要がない理由でもあります。

ギヤはフロント53Tx39T 12T-29T。

そしてライトはキャットアイ・VOLT800。
暗い行者環トンネルや国道169号の複数あるトンネル。前が暗くて見えないと大事故にもつながりかねない。
スタート前に何人かの参加者のバイクを見ると、到底光量の足りない補助的なフロントライトの人もちらほらいたけれど、車に例えたら真っ暗なトンネルで無灯火で走ってくるのと大差ない。何よりも自分自身が見えないことが危険でしょ。
ちなみに奈良県道路交通法施行細則によると、10m先が見える明るさが必要とされています。


しかし毎回過酷なコース設定を提案してくるGF吉野の実行委員長嶋村さん。いつもは冗談ばかり言っているオッサンですが、今回も冗談交じりに「完走率が高すぎて残念だ」的なコメントを発していましたが、その裏にはどんな過酷なコースコンディションでも万全の態勢で挑んで、戻ってくるサイクリストをリスペクトしているからこそ、先出のライトの件のような、ちょっとでもリスキーなというか、微妙にマイナス側のグレーゾーンの人に対しては厳しくなっているのだと思います。
それゆえに実走スタッフに対しても厳しいですし、毎年本大会を前に試走会を開催して、参加者に少しでも危険を理解してもらって安全に楽しんでもらおうという意思を感じます。
さぁ、来年もさらに厳しくするだの噂のあるGF吉野。どうなることやら。
また来年もきっと走ると思いますので、皆さんよろしくお願いいたします。


今回のポラールハートレートモニターのデータはこちら




電線がかぶっていてすみません、窓から見たまんまの景色です。
だけど本当に朝焼けがきれいで、ついつい見入ってしまいます。



今回オートバイによる移動スタッフには、奈良県の生んだ最大の自転車選手である(と思う)シクロクロス全日本9連覇の辻浦圭一くんが。
今でもこうやって自転車のイベントに携わっているのが素晴らしいね。



スタッフの参加者への愛を感じますね。
今回大怪我をされた人もいなかったようで、何よりです。



朝6時にスタート。
今年は10秒間隔で2人ずつスタート、なんか斬新でよかったです。



トンネルの先が点でしか向こうが見えない真っ暗の行者環トンネル。
曇りの日や夜には不気味すぎて、あまり通りたくないトンネルですね。



ライトはVOLT800
軽量で光量も十分、ロードバイクには最適なライトだと思います。



カセットは12T-29T
これだけ暑くてタフな日でスピード低下すると、29Tは使わないと思っていたけれど中盤以降はかなり役立ちました。



ホイールはカンパニョーロ・ゾンダ
PBPでも使用したけれど、個人的にはロングライド一押しの完組みホイールですね。